エアバスとミニスカ、スカイマーク仰天戦略 LCC台頭で、新興エアライン“元祖”は勝ち残れるか
A380は海外の一部の航空会社で導入されているが、日本では大手ですら飛ばしていない世界最大の旅客機。3クラス(ファースト、ビジネス、エコノミー)標準仕様は525席。スカイマークはビジネス116、広めのプレミアムエコノミー280の計396席として、エコノミーはいっさい設けない計画だ。運賃は大手の半額程度にする。
日本の大手航空会社の場合、機材によって若干の差はあるが、成田─ニューヨーク線は総座席数186~250。そのうちビジネスは42~77席、プレミアムエコノミーが24~40席、エコノミーが112~166席という構成だ。
JAL、ANAとも1日2便ずつ飛ばしている人気路線で、搭乗率はいずれも8割と高水準を維持している。西久保社長は「当社が(アジアなど)近距離国際線を就航していないのは、LCCの参入で過当競争になるのが目に見えていたから。一方、長距離線のビジネスシートは料金が高止まりしていて、うまみがある」と、需要奪取へ気を吐く。
搭乗率を高められるか
ただ、価格メリットを出せても、思惑どおりに顧客を獲得できるとは限らない。
バークレイズ証券の姫野良太アナリストは「スカイマークは、海外航空会社と(乗り継ぎ便などで)提携を結んでおらず、日本発着の需要に偏る」と指摘する。
参入時は日本人客中心の構成で成田─ニューヨーク線を運航していたANAの幹部も「当初は、提携などで現地の路線を活用できるエアラインに及ばなかった」と振り返る。マイレージなどソフト面で大手に劣るのも不安材料だ。コストが高い機材だけに、座席を埋め切れなければ収益へのダメージは大きい。
スカイマークはこうした課題を乗り越えられるか。2014年は勝負の1年となる。
※週刊東洋経済2014年1月11日号(1月6日発売)核心リポート02に加筆。西久保社長への詳細なインタビュー内容は「スカイマークはこうやって消耗戦から脱する」に掲載しています。