エアバスとミニスカ、スカイマーク仰天戦略 LCC台頭で、新興エアライン“元祖”は勝ち残れるか
「どうです。安い料金でこんな広いシートに座れるなら、皆さんも乗りたいと思うでしょ」
2013年12月中旬、フランス・トゥールーズにある大手旅客機メーカー、エアバスの本社工場。スカイマークの西久保愼一社長は、真新しい機内に報道陣を招き入れ、上機嫌で座席の仕様を自ら詳しく解説してみせた。
全席のシートを広めに
スカイマークが公開したのは、14年から羽田空港発着の主要路線で順次導入する「A330」型機。現在使用する米ボーイング社の「B737」型機(全席エコノミーで177席)より一回り大きな双通路の中型旅客機だ。通常サイズのエコノミー席なら最大440席収容できるが、271席にとどめ、その分、全席を広めのシートにした。
「グリーンシート」と名付けた新たな標準座席は、前の座席との間隔が約96.5センチメートル。一般的なLCC(格安航空会社)より23センチメートル以上、日本航空(JAL)や全日本空輸(ANA)のエコノミー席と比べても約18センチメートル広く、JALが割増料金で提供している「クラスJ」と同じだ。座席の横幅は従来より5センチメートル広くし、ひじ掛けも大きくした。脚を投げ出せるレッグレストも全席に装備する。
現在、スカイマークの普通運賃設定は、実質的に大手の半額近い水準。グリーンシート移行後も、これまでと同等の価格優位性を維持する。最新鋭機でなく、登場から20年近く経ったA330を選んだのは、性能の割に値段が安く、導入コストを最小限に抑えられるためだ。このグリーンシート仕様機を14年3月下旬に福岡線、その半年後に那覇線、15年には新千歳線にも投入し、主要3路線の全便をA330に切り替える。