「根拠のない健康情報」はなぜ拡散されやすいか デマに加担しないためのリテラシーが必要だ
最近では、医療や健康の情報に接する最大のきっかけは、ツイッターやフェイスブックなどSNSという人も少なくないのではないでしょうか。
ネット上の医療・健康記事にはとても有用なものがある一方で、時に科学的な根拠が存在しない、いわゆる「デマ」が拡散されることもあります。
事実よりも「感情」を揺さぶるコンテンツが拡散
2016年には、DeNAが運営する医療情報サイト「WELQ」に科学的な根拠に基づかない医療・健康情報が掲載され、大きな問題になりました。
なぜ、根拠に基づかない情報が拡散されるのか。背景にあるのは、根拠云々より「感情」を揺さぶるコンテンツが拡散されやすいという現実です。
2016年、米ウィスコンシン医科大学のメガ・シャルマ医師らはフェイスブックなどSNSを通じて、どのような医療・健康記事や動画が拡散されやすいかを調査しました。対象としたのは「ジカ熱」に関する記事や動画です。
ジカ熱は蚊や性行為によって広がるウイルスを原因とした感染症で、2015年から2016年にかけて流行し、妊娠中の女性が感染すると出生異常の原因になるとして、北米や南米を中心に大きな話題になりました。
シャルマ医師らがフェイスブック上に投稿されているジカ熱に関する記事や動画を調べたところ、多くアクセス・拡散されている200の記事のうち、8割以上は適切な情報源(アメリカ疾病管理予防センターなど)を基に、正確な情報を伝えていました。
一方で12%は、誤解を生む情報を伝えていました。例えば「ジカ熱は発展途上国の人口削減のために利用されている」とか、「大企業による陰謀」というようなものです。
この結果を見ると、フェイスブックにおける医療・健康情報の正確性はおおむね保たれているように思えます。
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