「根拠のない健康情報」はなぜ拡散されやすいか デマに加担しないためのリテラシーが必要だ
ところが「どの情報が拡散されたか」を調べると、驚くべき実態が見えてきました。12%の「誤解を生む」情報のほうが、はるかに多く拡散されていたのです。
200の記事のうちで最も拡散されていたのは「ジカウイルスの恐怖が不正なでっち上げである10の理由」という動画でした。ジカ熱は大企業によるでっち上げであると主張するこの動画は、フェイスブック上で53万回以上再生され、19万6000人によってシェアされていました。
「正確」とされたコンテンツで最も拡散されたのは、WHO(世界保健機関)によるプレスリリースでしたが、アクセス数は4万3000程度にとどまり、シェアは1000程度、先ほどの動画の200分の1にすぎなかったといいます。
この結果について、シャルマ医師はCBSのインタビューに次のように述べています。
「フェイスブック上の医療健康情報は規制されておらず、疑似科学的な陰謀論は人気があり、したがって正確な情報よりも多くの人に届く傾向があります。
この傾向は、パンデミック(世界的な流行)の際に有害になると考えられます。なぜなら感染を広げる原因となる行動やパニックを生み出す可能性があるからです。ジカ熱だけでなく、エボラ出血熱や新型インフルエンザ、鳥や豚インフルエンザでも同様です」
「善意」からのシェアが狙われる
2016年に行われた、アメリカ大統領選では、クリントン候補を誹謗中傷するようなフェイクニュースがSNSを通じて拡散され、選挙の結果に一定の影響を与えたのではないかと指摘されています。
BuzzFeed Newsによる報道で、人口200万人ほどのヨーロッパの小国・マケドニアの若者たちが、これらフェイクニュースを量産していたことが判明し、大きな話題になりました。若者たちの動機は政治的なものではなく、「そのほうが儲かるから」だったとされています。
感情的・煽情的であればあるほど拡散され、よりアクセスが増える。その結果として広告収入を得ることができる。ある意味で「合理的」ともいえる考え方によって、フェイクニュースが量産され、SNSの手を経て拡散されたのです。
感情的で、煽情的なものほど「気になる」ということ自体は人間の性であり、致し方ない面もあると思います。でも、せめて命や幸福に直結する医療や健康の情報では、丁寧で正確なものがもっと日の目を見るようにならなければと思います。
日々、スマホやPCで目にする医療・健康情報の中で気になったものを、つながりのある人に「よかれ」と思ってシェアなど拡散されるケースもあると思います。
しかしその善意を狙い、「シェアさせる」ことを目的に製造される情報があなたのタイムラインにも登場しているかもしれません。
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