内田隆
フォーチュン100企業の経営幹部が考えるリーダーになるうえで最も重要な資質は「正直さ」です。正直さには二つの意味があります。第一に、それは心の声に誠実なことであり、価値の源泉とも呼べる自らのコアや信念を明確にできる力のことです。第二に、それは人に対して正直でいられることであり、正直な言動を通して周囲の深い信頼を勝ち得ることができる力のことです。
第一については、第3回(自分経営にもビジョンと戦略を持て)で自らの価値の源泉を明確にするためのセルフリーダーシートを紹介しました。そこで今回は第二の、正直であることを通して周囲の深い信頼を勝ち得るエピソードをお話したいと思います。
裏表ばかりな人、正直でない人、嘘ばかりつく人、騙そうとする人を信頼することはできません。あなたと会っているのにあなたの話は聞かず、直ぐに「○○さん紹介してよ」とか「(打ち合わせとは関係のない)○○のビジネスについてはどう考えているの? 情報頂戴よ」などと自分に都合の良い情報だけ引き出そうとする人とビジネスパートナーになりたいなどとは思わないでしょう。
オバマ新大統領のリーダーシップについて先月シカゴに住む友人にインタビューした際も、オバマ大統領が人をひきつける大きな理由のひとつに、幼少期の出来事を含め人に語りたくない負の部分まで正直に人に語れる力があることを挙げていました。これを人気取りと批評好きな人は言うでしょうが、会社で人気を勝ち得るために自分の負い目などを正直に語ることができるでしょうか。
オバマ大統領も在籍したハーバードの交渉術の専門家たちは、「正直に語ることこそ相手との間に親密な関係を生みだすことができ、良い成果をあげられる」と主張しています。
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