(第16回)正直さは成功するリーダーの必須スキル

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 正直であることで周囲の深い信頼を勝ち得て成果をあげられることを、ハーバードで出会ったキャロライン(仮名)とのエピソードを通して考えたいと思います。

 キャロラインはインドネシア華僑の家に生まれ、いつも美しい貴金属や服を身に着けていました。聡明で優しく、家柄から温かみある言葉を使う、年齢は40歳を越える素敵な女性でした。
 ですが、彼女は自分の人生は24歳の時点から真っ逆さまに沈んでいて、20年近くたちようやく立ち直ることができたというのです。

 彼女自身の負の部分を正直に私に語ってくれました。

 「私は24歳のときに夫を殺されました。それまで私たち夫婦はジャカルタで二人の娘と不自由なく暮らしていました。しかし、子どもたちと外出していたある日、夫は強盗に殺されたのです」

 「長い間、私は立ち直ることができませんでした。私は辛い思い出が残る国を捨てアメリカにやってきました」

 それは衝撃の告白でした。私は言葉が出ませんでした。

 「40歳になった時、私は勉強をしようと決意しました。そしてハーバード大学に入学しました。ようやく私は人生で何をしたいのかが少しずつ見えてきたように思います。インドネシアのために行政を学び、卒業したら、辛い思い出はまだ残っていますが、祖国へ戻り、国のために身を捧げたいと思っています。人生の目標が見つかって、ようやく人生のグラフをプラスにできました」

 涙に濡れた顔のまま、彼女は澄んだ微笑みを見せてくれました。

 人生の困難やプライベートなことを正直に語ったことで、非常に良い関係が私たちの間には築かれました。プロジェクトにおいても私たちのチームは最高の結果を出すことができました。

 数百チーム以上の事例で実証されていますが、成功や苦難の過去を互いに正直に説明し親密な関係を築いたチームのほうが、そうでないチームより良い成果をあげています。逆に正直でなかったチームは疑いの関係を持ち良い結果を得られません。

 親密な関係を作る三つのコツを紹介します。

第一に、相手を理解したいということを相手に言動で伝えることです。
第二に、相手の話を聞くことです。
第三に、相手を理解するために個人的な質問をすることです。
 あなたがどれだけ真摯に歩み寄ってもあなたをひとりの人として扱わない人、年齢が上だというだけで命令形の言葉を社外の人にも使う人、正直に語らない人とは長期的なパートナーシップを築くことは難しいでしょう。もし彼とあなたの利害が一致し続けていれば別ですが、それすら利害に見合う間のことですから、いざという時に頼りになる存在とはなり得ません。

 人は自分の話を聞いてくれる人、興味を持ってくれる人に対して好感を持つものです。丁寧に振る舞い尋ねることはあなたの品格を上げ、親密な関係を築くことにつながります。正直であることこそ自分の人生に誠実に生きるコツであり、仕事もプライベートも豊かにすることに繋がります。
内田隆(うちだ・たかし)
マサチューセッツ工科大学スローン経営大学院経営学修士(リーダーシップ、ネゴシエーション、戦略、起業を専門に学ぶ)。更に、ハーバード大学ビジネススクール、ケネディ行政大学院にてリーダーシップや組織経営を学ぶ。
在学中300人以上の世界のビジネスリーダー、国家元首達と会い、彼等のリーダーシップスタイルを独自に研究。特にビジネスリーダーシップやWin- Win型ネゴシエーションを家庭や趣味に応用した「人生のリーダーシップモデル」を独自に構築し定評を得る。
2007年株式会社フォロードリームを創立し代表取締役会長兼CEOに就任。他人を恣意的に動かすことよりもまずは自らをリード手本を示す「セルフリーダーシップ力」で社員力を経営競争力へと変える経営戦略&リーダーシップコンサルティングや講演、研修、執筆活動など幅広い分野で活躍している。
詳細プロフィールはこちらまで
HP: http://www.followdream.jp Email: info@followdream.jp
内田 隆

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