(第1回)セルフリーダーシップ力は21世紀ビジネスプロの必須スキル

内田隆

 21世紀のビジネスパーソンに最も求められるスキルは何だと思いますか?

 営業力、企画力、コミュニケーション力、マーケティング力…様々なスキルがありますね。そのどれもが大切なことは確かです。しかし、仕事やキャリアに対する考えが大きく変わろうとする今の時代においては、自分自身をリードする『セルフリーダーシップ力』という考え方が必要です。

 セルフリーダーシップとは、これまでは組織やチームなど自分の外側のものを率いるために利用されてきたリーダーシップを、自分自身を導くために有効に使おうという考え方です。
 セルフリーダーシップ力が必要になった社会的背景としては次の四点があります。

 第一に、自分のキャリアパスは自分で考える時代となりました。
 かつては企業が社員のキャリアパスを用意し異動を繰り返すことで、社員は必要なスキルと知識を身につけることができました。しかしいまは個人が自分のキャリア形成を主体的に考え、ビジネスプロとしての価値を高めるために必要な知識(MBA等)や異動や転職を行う時代となりました。そうしなければ有利な転職もできませんし、たとえひとつの企業で人生をまっとうしようにもいつ外からライバルが入社してくるかわかりません。

 第二に、仕事が高度になり、若手社員と中間管理職が疲弊してしまいました。
 かつては企業が研修に多額の時間とお金を投資し3年から5年経ってはじめてひとり立ちしてくれれば良いと考えていました。私も働き始めた十数年前には、配布資料のホッチキス留めに会議室で遅くまで作業したり、知らないことがあれば別棟の同僚のところへ出かけ聞き、出席者のスケジュール合わせには何度も電話をかけ直したりしていました。
 しかしいまは、これらの新入社員がやるべきだったことは派遣社員と機械がやってくれます。ですから入社間もない社員も直ぐに高度な仕事(企画書を書くなど)をしなければならなくなりました。ですが従来の研修体系ではまだゆっくり育てようとしています。
 一方で、中間管理職も仕事の仕方が変わったため新しいこと(MBAに代表される高度な企画力やコミュニケーション力、地頭力などの新規創造力、ライフハックなどの作業効率化術)を覚えなくてはならなくなりました。管理職の仕事だけでも大変なのに、これでは部下のお手本になろうとも疲弊するだけです。
 ですから、新入社員がお手本を探そうにもいまの時代の仕事の仕方にあう理想の上司が見当たらなくなり、失望し、結果として入社3年以内に30%という大量早期退職の時代となりました。

 第三に、知識よりも実現の時代となりました。
 これまでは情報が集まる人、知識が豊富な人が優遇された時代でした。しかしインターネットの普及により情報や知識は持っていて当たり前となりました。
 ですから、これからの仕事力の差は知識量でなく、集めた情報や知識をどう自身で整理し解釈し行動に移し成果を実現させるかの実現力の差で決まるようになりました。

 第四に、他人を動かすノウハウは十分に機能しなかった。
 これまでは「あれをやれ、これをやれ」「気合で頑張れ」などと明確な理由なく精神論で命令する権力型管理者や、「君ならできるよ」と誉めてやる気を起こさせるコーチングがブームとなったりしました。ですがいまの会社では十分に機能しません。
 これらはすべて「他人」をどう上手にコントロールするかに焦点が当たっています。部下をどうやる気にさせるか、どう言うことを聞かせるか…そのためのテクニックが命令(コミュニケーション)やコーチングだったのです。
 ですが、人は本来、他人に恣意的に動かされることは好きではありません。

 人を無理に変えることは難しいです。もっと変えやすいもの、短期間で成果(小さな勝利と呼びます)を獲得できるもののほうが、やる気も続きますし、反対意見も抑えることができます。

 以上のような背景で求められる能力は次のようなものです。

自分のキャリアパス・自己成長の戦略を自身で描き実現する能力
周りの声に惑わされることなく、いまの自分がやるべきことを自身で判断できる選択能力
常にモチベーションを保ち短期・中期・長期いずれでも成果を出し続ける能力
自分自身を思うように導き輝くことで、自然と評価され周囲のお手本になる能力
知識だけでは突破できない現実を越えられる能力
人を変えることよりも、まずは自分が変わることに集中できる自己責任の能力
 一言で言うならば、自分の目指す何か大切なもののために自ら考え決断し行動し実現する能力が必要です。これこそが『セルフリーダーシップ力』です。

 自分の人生やキャリアのリーダーになれるのは自分しかいない。その意識で仕事をしていくことが、いまの時代には、とても大切になるのです。

内田隆(うちだ・たかし)
マサチューセッツ工科大学スローン経営大学院経営学修士(リーダーシップ、ネゴシエーション、戦略、起業を専門に学ぶ)。更に、ハーバード大学ビジネススクール、ケネディ行政大学院にてリーダーシップや組織経営を学ぶ。
在学中300人以上の世界のビジネスリーダー、国家元首達と会い、彼等のリーダーシップスタイルを独自に研究。特にビジネスリーダーシップやWin- Win型ネゴシエーションを家庭や趣味に応用した「人生のリーダーシップモデル」を独自に構築し定評を得る。
2007年株式会社フォロードリームを創立し代表取締役会長兼CEOに就任。他人を恣意的に動かすことよりもまずは自らをリード手本を示す「セルフリーダーシップ力」で社員力を経営競争力へと変える経営戦略&リーダーシップコンサルティングや講演、研修、執筆活動など幅広い分野で活躍している。
詳細プロフィールはこちらまで
HP: http://www.followdream.jp Email: info@followdream.jp
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