台湾プロ野球とパ・リーグ球団が築く深い関係 選手供給源としても潜在市場としても注目

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劉東洋氏。台湾の臺中市洲際棒球場にて(筆者撮影)

「2012年3月の東日本大震災復興支援ベースボールマッチをはじめ、野球台湾代表と日本代表(侍ジャパン)との交流試合は頻繁に行われています。

またCPBLとNPBの球団の交流も近年、積極的に行われています。それにNPBの二軍混成チームも毎年、台湾のウィンターリーグに参加しています。これからも日本と台湾の野球を通じた交流が盛んになっていくことを期待しています」

ビジネス、選手の「マーケット」として

筆者はCPBLやWBC、ウィンターリーグなどで、毎年台湾で野球を見ているが、台湾の野球ファンはNPBへの関心が高い。野球雑誌には陽岱鋼などNPBで活躍する台湾選手だけでなく、大谷翔平や柳田悠岐など日本のスター選手の動向も詳しく伝えている。日本チームとの交流戦には、NPB球団のユニフォームを着たファンが大挙して押し寄せる。

最近、感じるのは選手のレベルアップだ。数年前は、投手は速球を投げ込むだけ、打者は速球を打ち返すだけ、守備は球際が甘く、試合前の練習の段階で見劣りしていると思えたが、今はそこまでの差は感じない。

アジアウィンターリーグではためく日本、台湾などの連盟旗(筆者撮影)

特に高校生以下のアマチュア選手の実力は、日本と遜色がない。毎年、夏の甲子園が終わるとU-18の国際大会が行われる。

昨年9月の大会では、大阪桐蔭の根尾昂、藤原恭大、金足農の吉田輝星など、この歳のドラフト1位選手が中心となったU-18侍ジャパンは、同じく18歳世代の台湾代表に1―3で完敗している。侍ジャパンは台湾の投手の前にわずか2安打しかできなかった。

日本の高校生が反発係数の高い金属バットを使い慣れているのに対し、台湾は普段から木製バットだ。木製バットを使用する国際大会で、その差が出たとも言えるが、少なくとも高校生のレベルでは、日台にそれほど大きな差はないのだ。

日本に親近感を抱く人が多く、生活水準もそれほど変わらない台湾は、NPBのマーケットとしても有望だ。今年1月に、パシフィックリーグマーケティングが、FOXスポーツ台湾と2019年以降の台湾での3年間のパ・リーグ主催試合放送契約を結んでいる。王柏融の入団で、期待感は高まっている。NPBとCPBLが公式戦で戦えば、さらに盛り上がるだろう。そのためにはCPBLのレベルアップが必要となるが、あながち空想とは言えない。

日本のプロ野球は昨年、2555万人と史上最多の観客動員を記録した。その一方で、人気球団の動員率が90%を超えるなど、飽和感、手詰まり感も出てきている。

「野球離れ」が明らかになる中で、ビジネス、選手の「マーケット」として「台湾」に注目すべき時が来ているように思う。

(文中一部敬称略)

広尾 晃 ライター

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ひろお こう / Kou Hiroo

1959年大阪市生まれ。立命館大学卒業。コピーライターやプランナー、ライターとして活動。日米の野球記録を取り上げるブログ「野球の記録で話したい」を執筆している。著書に『野球崩壊 深刻化する「野球離れ」を食い止めろ!』『巨人軍の巨人 馬場正平』(ともにイースト・プレス)、『もし、あの野球選手がこうなっていたら~データで読み解くプロ野球「たられば」ワールド~』(オークラ出版)など。

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