台湾プロ野球とパ・リーグ球団が築く深い関係

選手供給源としても潜在市場としても注目

2019年MLB開幕戦のプレシーズンゲームで出場した北海道日本ハムファイターズの王柏融選手(写真:USA TODAY Sports/ロイター/アフロ)

今年もプロ野球が開幕した。筆者はプロ野球12球団のキャンプを二軍を含めほぼすべて踏破した。その取材の中で目についたのは、台湾メディアだった。台湾がNPBの春季キャンプにとりわけ熱い視線を注いでいたのは、1人の大物選手が入団したからだ。

王柏融に注がれる台湾メディアの熱いまなざし

その名は王柏融(ワンボーロン)。今季ポスティングシステムで北海道日本ハムファイターズに入団している。

まだ25歳だが、台湾プロ野球(CPBL)では「大王」とも呼ばれるスーパースターだ。入団2年目の2016年に打率4割、200安打という未曽有の記録をマーク、翌2017年は4割に加え三冠王。CPBLは極端な投低打高であることは考慮しなければならないにしても圧倒的な数字を残した。

王が台湾の野球ファンにとって特別の存在なのは、その成績だけが理由ではない。

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台湾プロ野球は1989年に創設された。映画『KANO 1931海の向こうの甲子園』で描かれたように、日本の植民地だった台湾には根強い野球ファンがいる。

しかし台湾プロ野球は何度も挫折の憂き目を見る。反社会勢力が関与し野球賭博・八百長事件が起こったからだ。日本でも1969年に「プロ野球黒い霧事件」が起こり、八百長に関与した選手が多数永久追放されたが、台湾の場合、八百長事件が一度ではなく何度も起こり、混乱を極めた。選手が追放されただけでなく、解散に追い込まれた球団もあった。

リーグの信用が失墜したために台湾の有望なアマ選手はCPBLには行かず、NPBやMLBを目指すことが多くなった。ヤンキースで19勝した王建民、日本ハム、巨人で活躍する陽岱鋼などはこうした選手たちだ。

台湾ではアマ代表とプロ代表が試合をすればアマが勝つことも珍しくない。CPBLは信用がなかったために、なかなか人材が集まらなかったのだ。

しかし中国文化大学時代、屈指の好打者だった王柏融はCPBLのLamigoモンキーズに進み、ずば抜けた成績を残した。そしてCPBL史上初めてポスティングシステムで日本ハムに移籍したのだ。

台湾の野球ファンにとって、王柏融は2001年にオリックスからシアトル・マリナーズに移籍したイチローのような存在だ。日本ハムで王が活躍することは、CPBLの実力と健全さの何よりの証明になるのだ。

王は182cm85kgと標準的な体格。日本のチームメイトに交じると目立たないが、ボールを捉える能力は目覚ましく、春先から好調を維持している。

2月16日の紅白戦で実戦デビューした王は本塁打を打ったが、台湾4大紙の1つ「聯合報」は、「日職/火腿沖繩紅白賽 王柏融熱身賽首轟(日本プロ野球/ハム沖縄での紅白戦で、王柏融は最初の爆弾を落とした)」という見出しで大きく報道した。

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