スタンフォード大に合格した移民親子の大奮闘

「日vs米」受験競争どちらが過酷?(後編)

スタンフォード大学のキャンパス(写真:alacatr/iStock)

ニューヨークに在住する渡辺深雪さんの長男・太陽君は、2017年末にアメリカの名門大学スタンフォードに合格した。渡辺さんは、20代でハイチ系アメリカ人の夫と結婚し、“マイノリティー”家族として、ニューヨークで男女2人の子どもを育てている。

夏休みは1日9時間の勉強漬け

太陽君が小4のとき、マイノリティーの家族の中から優秀な子どもを見いだして、およそ2年間をかけて鍛え上げ、名門私立学校に編入させる「ダイバーシティ・プログラム」というプログラムに応募した。

合格率たった4%の狭き門を見事通過。アメリカの“エリート街道”に合流するための“茨の道”が始まった(アメリカの進学制度については前編「アメリカで『エリート街道を進む子』の進学事情」を参照)。

「壮絶な詰め込み勉強です。俗に『スパルタン・アカデミック・ブートキャンプ(スパルタ式お勉強訓練)』と呼ばれています」(渡辺さん)

太陽君は、小5と小6の2年間、今までどおり公立小学校に通いながら、水曜日の放課後と土曜日の丸1日を、「ダイバーシティ・プログラム」での勉強特訓にあてた。宿題も多い。夏休みともなれば、月から金の毎日、朝の7時から夕方4時まで勉強漬けだ。日本の中学受験塾でも、そこまでやるのは小6の夏だけである。

しかも、宿題の提出もれや遅刻があると、イエローカードをもらうハメになる。1年間でイエローカードが12枚たまると強制退学だ。何度もへこたれそうになりながら、太陽君は、ぎりぎりイエローカード11枚でプログラムを修了した。

ただし、勉強の内容を聞くと、やや印象が変わる。

「ラテン語や、生物の解剖、政治・経済、公立学校では読ませないレベルの読書……などをやっていました」

まさにエリート教育の王道と呼ぶにふさわしい。ラテン語なんてビジネスの世界では使わないし、医者になるのでもなければ解剖なんてできなくていいはずだ。重要なのはスキルそのものではない。そこから得られる教養なのだ。

「ダイバーシティ・プログラムとは、マイノリティーの中から潜在能力の高い子どもたちを見いだし、白人のエリート層と同程度以上の超ハイレベルな教育の機会を与えたうえで、世界的企業や学術界の中枢に送り込み、社会の内側から人種格差や就職差別を是正するという長期的視野に基づいた取り組みなのです」(渡辺さん、以下同)

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