スタンフォード大に合格した移民親子の大奮闘 「日vs米」受験競争どちらが過酷?(後編)

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修了生は、一般の子どもたちとは別枠で、私立学校を受験することができる。親子でまず進学先候補を6校選び、仮面接を受ける。最終的に3校に絞って願書を提出する。結局、アート系に強いとされる「セント・アンズ・スクール・イン・ブルックリン」に進学した。

「勉強ができるのは当たり前」+αの幅が必要

前編で、ニューヨークの公立学校が「5・3・4」制であると述べたが、私立学校はその限りではない。太陽君が進学した学校も変則的で、日本でいうところの小5の学年からの4年間が「ミドルスクール」で、同じく中3の学年からの4年間が「ハイスクール」だった。太陽君は小5・6で「スパルタン・アカデミック・ブートキャンプ」を修了したので、日本の中1に相当する「第7学年」から私立学校に編入したことになる。

「その時点では大学進学のことまでは考えていませんでした。でも、いい私立学校に通っていれば、学校の中で大抵のことができてしまい、それが大学受験対策にもなります。そう思うと多少気が楽になりました。逆に言うと、普通の高校から名門大学を目指そうと思ったら、親がお金と時間をかけていろいろなことを経験させなければなりません」

アメリカの大学受験対策とは何か。前提として、アメリカの大学を受けるには、(1)SATまたはACTと呼ばれる学力テストのスコア、(2)GPAと呼ばれる学校の評定平均、(3)教科学習以外の活動記録、(4)大学共通または個別テーマの小論文数本が必要だ。

「名門大学を目指すのであれば、高校4年間の成績(GPA)、履修した教科の難易度、SAT/ACTなどのテストスコアはすべてトップレベルでなければなりません」

SATにはオプショナルのSATⅡというテストもある。名門大学を目指すなら、SATⅡで得意科目を2~3選び、いずれも高得点を取って提出するのが一般的だ。渡辺さんの家では、SAT/ACT対策のために家庭教師をつけた。

「さらに、学内外でのスポーツや音楽、アートなどを通した自己表現能力、第2・第3外国語の習得、ボランティア活動などコミュニティーへの貢献、ソーシャル面での意識の高さや起業家精神、リーダーとしての資質を証明できる活動の記録などもほしいところ」

各大学への共通願書(コモンアップ)で、課外活動について書く欄は10項目。そこに空欄を作らぬよう、高校生活の間にそれぞれの活動を同時進行させる時点で、高度な自制心や集中力、時間管理能力が必要になる。

太陽君はコモンアップに、

(1)サマーキャンプでのボランティア経験
(2)トロンボーン演奏
(3)ピアノ演奏
(4)フェンシング部での実績
(5)モロッコでのフランス語研修とホームステイ
(6)大阪での日本語研修とホームステイ
(7)海洋生物学クラブでの大会実績
(8)NY在住邦人のための日本語補習校でのアシスタント経験
(9)アフリカン・ダンス

などを記入。10項目すべてを埋めた。

「でも、決定打は何といってもそのすべてを楽しんでやっているという真摯さ。浅いと小論文やOB/OG面接ですぐに見破られてしまうでしょう」

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