「大学中退者は忍耐ない」と判断するのは早計だ 就職支援を経て「戦力になる人材」に変貌する

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7日間の講義が終了すると、10~12社を招いての面接会が2日連続で行われる。1社に対して2人の形式で、参加企業全社と面接を行う。面接後に企業から再度会いたいとのオファーがあれば、後日行われる個別面接に進む。1人あたり、1~5社のオファーがあるそうだ。

講義終了後に行われる面接会の様子。再度会いたいというオファーが1人あたり1~5社あるという(写真:ジェイック)

ジェイックではこの集団面接の翌日に、オファーのあった企業の個別面接に対応するための指導も行っている。企業の業務内容やニーズに合わせた個別面接用の作戦を練るのだという。

またセカンドカレッジでは、就職後の定着率を強く意識している。就職先は卸売り、建設、メーカー、ITなどさまざまだが、パチンコホールや投資用不動産販売、商品先物などの企業はない。こうした業界は慢性的な人手不足なので就職するのは難しくないが、定着率が低いため紹介を控えているという。

就職した後には1カ月、3カ月、6カ月、1年というタイミングで中退者をフォローする研修も行っている。セカンドカレッジの受講料は無料。就職が決まったら企業からジェイックに仲介手数料が支払われる仕組みだ。

これまでジェイックは既卒者やフリーターなど就職に苦戦する若者を支援してきた。この中に中退者も混ざっていたのだが、中退者を採用した企業からの中退者への評価が高いことから、中退者支援のサービスを独立させることにした。中退者だけをターゲットにしたサービスは珍しい。

覚悟がある中退者を採用企業が評価

リクルートキャリアは就職未経験の若者と中小企業をマッチングさせる「就職SHOP」というサービスを展開しているが、これを利用しているのは既卒や第2新卒、フリーターなどが多く、中退者は1割程度。一方、ジェイックのセカンドカレッジに参加した女性は「いろいろ検索して中退者向けのサービスを探し、就職SHOPかセカンドカレッジか迷ったが、セカンドカレッジは中退者専用なので選んだ」という。

セカンドカレッジは2017年8月にスタートし、2018年12月までに365名が受講。そのうち317名が卒業し、就職が決まったのは260名だった。卒業できなかった中退者が48名いたものの、卒業者の82%が就職したことになる。

マイナビが2018年に行った調査によると既卒者の内定率は45%。マイナビは毎年既卒者調査を行っているが、ここ数年は45%程度の水準で推移している。セカンドカレッジはかなり高い就職率を実現していると言える。

企業は中退者についてどう見ているのだろうか。東京や千葉で不動産関連事業を幅広く手掛けるアービックは、APAMANが展開するアパマンショップのフランチャイジー。市川や船橋を中心にFC店を7店展開しているが、そのうち6店の店長がセカンドカレッジを卒業した社員だ。

以前はリクルート系のサービスで社員を募集していたが、稼ぐ意欲がない社員が多く、離職率が高いことに悩んでいた。

そこで、セカンドカレッジの卒業生を面接したところ「今までの人材とは違って意識が高いので驚いた。中退したのでもう後がないという覚悟があり、とても積極的だ。さらに、セカンドカレッジでの研修を乗り越えているので使いやすい」(アービックの川崎菜穂実副社長)。アービックではすでにセカンドカレッジの卒業生を数十名採用しており、今後も新卒より中退者採用に力を入れる方針だ。

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