文科省の学校基本調査によると、2018年3月に約7.1万人が大学院を修了し、うち8割弱の5.6万人が就職を決めている。大卒の就職者数43.6万人の1割強にすぎないが、大学院卒を多く採用する企業は少なくない。
『就職四季報』では男女別や文理別だけでなく、大卒者と大学院(修士)修了者別の内定者数も調査している。大学院卒が数多く就職する企業はどこかを見るために作成したのが「大学院卒の採用が多い会社ランキング」だ。
ランキングは『就職四季報2020年版』(総合版)のデータ(2018年7~8月調査)から、2019年4月入社の内定者数を用いて作成している。大卒・大学院卒別の内定者数を回答していない企業もあり、掲載約1300社のうち、院卒の採用が1人以上いる会社は864社となっている。
ランキング1位はホンダで、院卒の採用数は363人。同社は、3月16日の配信記事「『理系学生の採用が多い会社』ランキングTOP200」でも、1位となっていた。院卒・大卒にかかわらず、自由闊達に研究できる環境は、学生に魅力的なのだろう。
2位はダイキン工業。関西が地盤の空調機器のトップメーカーで、世界90以上の生産拠点を持つ。フッ素化学事業にも力を入れており、化学系の学生の採用も多い。
重厚長大メーカーが院卒生を多く採用
大学院卒採用者のうち文系の数についても記載した。見てのとおり、上位企業では文系の大学院卒は少数派で、理系学生の割合が高いことがわかる。よって理系学生の採用が多い会社ランキングと似た結果になっているが、詳細を見比べると順位が変動したケースもある。
理系学生が多いスギ薬局やマツモトキヨシは、大学院卒のランキングではランク外になった。ドラッグストアへの就職者は6年制の薬学部出身者が多く占めており、院卒の内定者が少ないことがうかがえる。
一方、理系採用者数ランキングと比べて大きく順位を上げているのが、新日鐵住金で、理系の採用数ランキングでは17位だったが、4位まで順位を上げている。6位のJFEスチール(理系26位)も同様で、鉄鋼などの重厚長大メーカーが目立つ。
ランキングの上位企業で、文系院卒の採用数が多いのは、53位のNECソリューションイノベータ(院卒70人中10人が文系)や74位のニトリホールディングス(同59人中28人)などとなっている。
全体の採用人数に占める大学院卒の割合についても記載している。その比率が最も高かったのは、77位の日本電信電話(NTT持ち株会社)で、採用した56人すべてが理系の院卒だった。
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