2020年入社の就職・採用活動が進んでいる。依然として企業の採用意欲は高く、「売り手市場」が続いている。中でも、IoTやAI、フィンテック、ビッグデータといった新しいテクノロジーや分析手法にスムーズに対応できる理系人材を求める風潮は強まっている。
弊社刊行の『就職四季報』では文系・理系別の採用数を調査している。東洋経済オンラインでは、2018年7月~8月に行ったアンケート調査をもとに、「理系学生の採用が多い会社ランキング」を作成した。
文理融合の学部が増えたこともあり、文系・理系の区別が薄くなってきている面はある。ただ、企業の回答をベースに文系・理系を分けて整理すると、理系ならではのランキング結果となった。アンケートで、未回答の会社はランキングの対象外としているが、それでも理系の学生を1人以上採用する企業は、1008社あった。
ランキングの1位はホンダ。調査時点で、理系学生454人の採用が決まっていた。バイクとクルマだけでなく、プライベートジェット機やロボット開発、モータースポーツが目立つように、研究開発のホンダというイメージが強い。その結果が、理系学生数の採用数にも表れている。
金融機関やベンチャーの理系採用少ない
自動車関連企業は依然として理系学生の内定者が多い就職先だ。トップ10を見ると、3位に自動車部品メーカーのデンソー(368人)、8位に三菱自動車(237人)がランクインしている。
トヨタ自動車や日産自動車は、文理別の採用者数についての回答が得られなかったので、ランキングには入っていない。ただ、トヨタ自動車は2018年度の実績では527人の理系学生を採用しており、2019年4月にもたくさんの理系学生が就職することは間違いない。
ランキングでは理系の内定者数に加え、理系の女性(リケジョ)の人数も併記している。2位のスギ薬局は、375人の理系学生のうち235人が女性で、4位のマツモトキヨシも305人中174人が女性だった。理系の薬剤師の採用が多い企業では、女性比率が高い。
ランキングの理系割合に注目すれば、理系人材をどれだけ重視しているかがわかる。割合が最も高かったのは、159位日本電信電話(NTTの持株会社)で、56人すべてが理系だった。建設コンサルタント会社の163位建設技術研究所は55人中53人が理系、高給企業としても有名なロボット・工作機械メーカーの55位ファナックも理系比率が95.1%だった。
調査対象はアンケート調査の回答があった企業のみに限られ、規模が大きい会社がランクインする傾向にあるが、それでも金融機関や新興企業の影は薄い。理系学生を惹きつけるようなITベンチャーや金融機関が日本企業には少ないことが見てとれる結果だといえる。
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