新卒採用市場では、企業の苦戦が続いている。その状況は、リクルートキャリアの就職みらい研究所が先日発表した「就職白書2019」からもわかる。同白書によると、2019年卒の学生を対象とした企業の採用活動で、採用数が「計画よりかなり少ない」「計画より若干少ない」「現在選考中につき、未定」を合算した「採用数未充足」の合計は前年並みの51.5%。半数以上の企業が、思うように採用ができていないのだ。
一方、大学生にとっては「売り手市場」となり、実際の就職状況も好調だ。文科省の「大学等卒業予定者の就職内定状況調査」によると、今年の3月に卒業予定の大学生の就職内定率は2018年12月時点で87.9%。前年同期比で1.9ポイント上回っている。最終的な就職率は、1997年の調査開始以来の最高を記録しそうな情勢だ。
大学生の売り手市場は、この3月に本格的にスタートした2020年卒の就活においても続く。「就職白書2019」が2020年卒の学生の採用計画について企業に調査したところ、採用数が「増えると思う」が13.9%、「変わらないと思う」が45.8%という結果に。この合計は「減ると思う」を大きく上回っている。採用数が減らないのなら、大学生の売り手市場が継続するのは確実だ。
大学の就職力は「質」が重視されてきている
大学生の売り手市場が続くからといって、就職力が大学選びの重要な要因であることには変わりはない。ただ、大学生の好調な就活環境を背景として、大学に求める就職力は、就職率という「量」から、どこに就職するかという「質」にシフトしている。つまり、進路指導教諭から「就職に力を入れている大学」として評価されるには、就職率だけでなく、大企業への就職力の高さもポイントになっている。
進路指導教諭が選ぶ「就職に力を入れている大学」ランキングの上位の大学は、いずれもそうした期待に応えているといえよう。このランキングは、大学通信が約2000の進学校の進路指導教諭にアンケートを行い、約800校から得た回答を集計した結果だ。5校連記で記載してもらった大学に対し、最初の大学を5ポイント、次を4ポイント、以下順に3ポイント、2ポイント、1ポイントと割り当てて集計し、ポイントの多い順に並べた。
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