企業の政策保有株に厳しい目が注がれている。金融庁は、2018年6月に「投資家と企業の対話ガイドライン」を公表した。ガイドラインでは、重点的に議論をすることが期待される事項の1つに、政策保有株式(株式持ち合い)を挙げている。企業に対して、保有目的の開示にとどまらず、資本コストに見合う投資となっているかも検討をするように求めている。
その後、2018年11月に金融庁は「企業内容等の開示に関する内閣府令」の改正案を公表。
これに基づき政策保有株式の新たなディスクロージャーでは、まもなく決算期末を迎える2019年3月期の有価証券報告書から、各年の株式の異動状況の開示が求められるほか、貸借対照表計上額が大きい順の開示銘柄数を60銘柄に拡大する等の変更も実施される。
銘柄数が多い上位5社は金融機関が占めた
注目度が高まっている状況を勘案し、東洋経済オンラインでは政策保有株式について、初調査を実施。2017年9月期から2018年8月期までの、有価証券報告書コーポレート・ガバナンスの状況の注記に記載された内容を調査し、保有銘柄数が多い順に並べたランキングデータを作成した。今後、開示が義務づけられる前年度比での銘柄数の増減についても記載した。
また、銘柄数のほかに貸借対照表の計上額についても併載している。なお、持ち株会社制度を採用する企業で、傘下の企業が保有する銘柄数を別々に開示している場合には、その合計数を銘柄数としている。
銘柄数が多い上位5社は、銀行・損保などの金融機関が占めた。ただし、いずれの金融機関でも政策保有株式は削減傾向にある。最も保有株式数が多かったのは、2801銘柄で、MS&ADインシュアランスグループホールディングスだった。MS&ADは、三井住友海上保険とあいおいニッセイ同和損害保険が保有する銘柄数などを別々に開示している。今回の調査ではその合計を銘柄数と貸借対照表計上額としている。
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