春は出会いと別れの季節でもある。東洋経済オンラインでは、従業員数が大きく変動する3月の、有価証券報告書に従業員の注記に記載されるデータを用いて、各企業の雇用者数に関するランキングを作成している。まずは非正社員が多い企業の最新ランキングを発表する。ランキングには非正社員の人数と非正社員比率、5年前比非正社員増減率を併載している。
非正社員の人数は、有価証券報告書の従業員の注記に、「非正社員」が「臨時従業員」として開示されている人数を取得したもの。
有価証券報告書では、期間従業員やパートタイマーなどの臨時従業員数が全従業員数の1割以上を占める場合に、年間の平均人数を開示することが義務付けられている。臨時従業員はいるものの、1割未満のために人数が開示されておらず、ランキングの対象外になっている場合もある。
データは各社の決算期にあわせて、2017年12月期~2018年11月期の有価証券報告書より取得した。5年前時点が未上場の場合や、データが公開されていなかった場合は、増減率の欄に―と記載している。上場企業のうち、非正社員が1名以上いる企業は2728社あった。
不動の1位はイオン
この調査を開始して以来、不動の1位を守っているのはイオンだ。2位に10万人近い差をつける26万2958人の非正社員を雇用している。この5年間に同業他社の買収によって企業規模が拡大している点も大きいが、非正社員を36.5%増加させた。ただし、同じ期間の正社員の増加は61.7%で、正社員を優先して増加させている。非正社員比率は減少傾向にあるものの64.0%で、依然として雇用者の5割以上を非正社員が占めている。
2位は日本郵政。上場してから5年以内なので、5年前との比較はできなかった。セグメントごとの非正社員数も公開されているが、最も多いのが郵便・物流事業だ。正社員9万7210人に対して、非正社員は10万9065人になる。郵便・物流事業だけでみた非正社員比率は5割を上回っている。生活インフラとなりつつある物流事業は、たくさんの非正社員によって支えられている実態が読み取れる。
上位10社のうち、最も非正社員比率が高かったのが9位のすかいらーくホールディングスで、非正社員比率は86.9%。正社員数6187人に対し、非正社員は4万0903人が働く。外食チェーンの非正社員依存度は高く、8位のゼンショーホールディングスは非正社員比率が82.4%、人数にすると5万0837人が働く。
上位50社の中で、非正社員数を最も減らしたのは、38位の日産自動車。この5年で増減率にして45.3%、1万6525人を減少させた。同じく5年間で正社員も2万1620人を減らしている。もともと正社員の雇用者数のほうが多いので、5年前比の増減率にすると13.5%程度にとどまる。比率でみると非正社員の減少幅が大きいのは、人員減少局面での不安定さを反映した結果ともいえる。
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