簡単に補足しよう。
一番ありそうだと筆者が思っているシナリオは、14年の消費税率・第一次引き上げを金融緩和と景気対策追加で無理矢理しのぎ、14年の今頃には、証券マンは「15年の日経平均3万円は十分視野に入った!」などとのたまい、不動産業者は「不動産価格は、東京オリンピックまでは大丈夫です!」と言って首都圏のマンションを売りまくるような、少々懐かしいバブルが起こり、15年以降のどこかでピークを打つような展開だ。
消費税10%決定時には注意
バブルが形成されても、その崩壊のタイミングを正しく当てるのは神業のように難しいが、消費税率が10%に引き上げられることが決まったら、バブルの自然崩壊に加えて、(2)~(4)が引き金を引く可能性も徐々に大きくなって来るので、投資家は注意したい。
「オリンピックまでは大丈夫です」などと言っていると、だいたい、そのかなり手前で大丈夫ではなくなるのが普通だ。バブル的な状況が長引いたとしても、オリンピックの2、3年前で大きく崩れる、といった展開になるのが、一番イメージしやすい未来かも知れない。そして、好況が長引くには、あまり急激に物価が上がらない方がいい。
さて、14年の後半には、コアコアCPIベースの消費者物価でも年率1%程度の物価上昇がはっきりしてくるのではないかと想像するが、この段階では、まだ金融緩和の「出口」が現実味を帯びては来るまい。
しかし、物価が想定以上に簡単に上がってしまい、金融緩和の名分が立たなくなる可能性は、リスク・シナリオとしてある程度見ておきたい。金融引き締めに対しては、株価は「ひとたまりもない」と想像する。普通の投資家が当面最も恐れるべきファクターは、物価の上がりすぎだろう。
先にも述べたように、消費税率引き上げで景気拡大が頓挫する可能性は、第二次引き上げ、つまり10%への引き上げの決定後に起こる可能性が相当程度存在するように思える。まだ政策追加に余裕のある8%への第一次引き上げの段階で相場が終わる確率は、そう大きくないのではないか。
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