米国の金融緩和政策の「出口」、これに伴う新興国へのショック、特に中国への悪影響、さらに欧州の再混乱といったファクターは、当面常にある心配だ。だが、最大の心配である米国のQE3縮小にはドルの実質金利上昇から円安につながる影響チャネルがあり、仮にそうなっても、日本への悪影響は、日本の十分な金融緩和でしのげる可能性が大きいのではないかと考えている。もちろん、海外で起こったショックがあまりに大きなものであれば、日本経済のみが単独で好調を保つことは難しいので、海外への目配りは重要だ。
なお、日本では、円建ての確定利回りの運用対象に対するニーズは大きく、国債以外の運用対象が乏しい。国債の実質金利が上昇した場合には、相当の需要が発生する。低インフレ下で国債が暴落し、アベノミクスが続行不能になる可能性は大きなものではない。
当面のマーケットには強気で
ところで、先のアンケート結果を見ると、消費税と海外の悪要因に対して、これだけ心配が大きいということは、世の中の相当数の人が、景気に対して弱気で、株式などの資産価格がさらに上昇する可能性に対して、まだ懐疑的なのではないか、と推察できる。
一般に、「弱気」と「懐疑」を持っている人が多数残っていることは、相場の上昇余地にとっては、大いに好ましい事だ。大多数が既に楽観していてこれが価格に反映している状況よりも、現在「不安」で将来「楽観」に転ずる余地のある人が多数残っている方がプラスの変化の余地は大きいからだ。
もう少し正統的なアプローチとしては、今後、資産価格の絶対値としてのフェア・バリューの吟味が一層重要になってくるだろう。外的要因で相場が終わるとした場合でも、フェア・バリューよりも大きく高い価格に投資し続けていなければ傷は浅いはずだ。
そして、当面の株価は「まだ、決して高過ぎではない」。これと示せる確たる根拠はないが、アベノミクス相場は、現在、たぶん六合目くらいなのではないだろうか。
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