「東京パラ」に懸念、バリアフリー未整備の内実 国・都の対策進むも必要な客室数を把握せず
「チームでまとまって宿泊できるところはない」
「現状では車いすの競技の選手や監督が、試合のために東京に訪れた際、チームがまとまって宿泊できる施設はありません。バリアフリーの部屋が1つのホテルにわずかしかなく、分散して宿泊しなければならないため、ミーティングもできないのです」
これは、車いすを使ったスポーツの競技関係者から聞こえてくる声だ。東京では、来年のオリンピック・パラリンピックの開催や、外国人観光客の増加を見込んで、ここ数年ホテルの建設ラッシュが進んだ。東京都によると「毎年数千室規模で増えているとみられる」という。
しかし、バリアフリーの部屋は同じようには増えていないようだ。バリアフリーの部屋は、比較的料金が高いラグジュアリーホテルには数室あるものの、ビジネスホテルにはあまりない傾向にある。部屋を探すという面でも、料金の面でも、関係者は負担を強いられている。
バリアフリーの部屋が少ない理由は、日本のバリアフリー法に原因がある。2006年に施行された現行のバリアフリー法では、ホテルや旅館に対し、部屋、トイレ、浴室の出入り口の幅が80センチ以上で、段差がない客室を一定数設置するよう定めている。ところがその基準は「50室以上の施設に1室以上」。客室が多いホテルでも、1室あれば十分としているのだ。しかも罰則規定はない。
この現状に対して、2018年5月、パラリンピックの事前協議のために東京を訪れた国際パラリンピック委員会は、「ホテルのバリアフリーが進んでいない」と懸念を示した。さらに「バリアフリー化できる客室の数の見通しを示す必要がある」と指摘した。
無料会員登録はこちら
ログインはこちら