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「東京パラ」に懸念、バリアフリー未整備の内実 国・都の対策進むも必要な客室数を把握せず

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そもそも現状、東京都心にはバリアフリーの客室がどれだけあるのか。東京都、国土交通省、東京オリンピック競技大会・東京パラリンピック競技大会推進本部にそれぞれ聞いてみた。しかし、その数を把握している役所はなかった。

そもそも現在のバリアフリーの客室数を把握していないのに、国際パラリンピック委員会に示すべきだと指摘された、「バリアフリー化できる客室の数の見通し」などわかるはずがない。しかも、今後調査する予定はないという。

さらに、大会期間中の宿泊者の推計も存在しなかった。2020年のパラリンピックで販売されるチケットの数は230万枚。海外から来る観客向けに振り分けられるのは2割程度と見られている。しかし、車いすユーザーがどれだけ宿泊するかといった推計はなく、今後も作成する予定はないという。

ちなみに、オリンピックのチケット販売数は780万枚。オリンピックにも、車いすユーザーの観客は当然訪れるだろう。東京都はオリンピックの期間中よりもパラリンピック期間中の方が車いすユーザーの宿泊客は少ないのではないか、と話しているがその根拠は不明だ。いずれにせよバリアフリー客室は足りない。

選手が宿泊する選手村は7000室以上が車いすに対応しているので、パラリンピック期間中の方が車いす対応の客室は少なくて済むと考えているのかもしれないが、各国から関係者も大勢来る。見通しが甘いと言われても仕方がないのではないだろうか。

後手に回った宿泊施設の用意

東京都は条例によって、東京都内のバリアフリー客室は飛躍的に増え、来年のパラリンピックまでにも効果が期待されると話す。一方、国土交通省はバリアフリー法の改正は、パラリンピックのレガシー(遺産)として考えているという。

しかし、現状の数字が分からなければ、オリンピック・パラリンピックまでにどれだけ増やせばいいかもわからない。こんな状況で、本当に世界中から来るパラ・アスリートや、車いすを必要とする観客らを受け入れることができるのだろうか。

それにしても、東京都内ではパラリンピックの競技会場や、パラ・スポーツ専用の体育館「日本財団パラアリーナ」の建設が進められているのに、宿泊できる場所が用意されていないのは、対策が後手に回ったためと言わざるをえない。

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【パラ発祥の地では誰でも使える設計】

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