若手社員は「仕事手抜き術」を覚えた方がいい ワークライフバランスの神様に学ぶ働き方

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佐々木氏は自閉症の長男とうつ病だった奥さんのため、ほぼ毎日定時退社して家事も育児もすべてをこなした家庭人。

同時に勤務先の東レで、事業改革や関連会社の再建を成功させ、同期トップで取締役になった「ワーク・ライフ・バランス」のシンボル、いや神様ともいえる存在だ。

「そんな私が考える『戦略』とは『戦いを略す』ことですよ。だって会社の仕事はたいてい玉石混交で、石みたいな雑用が8割くらいある。一方で仕事に使えるあなたの資源は限られる。

無能な上司や先輩から降りてくるムダな仕事にまで全力投球するのは人生のムダ使い。ムダな仕事は、いかに“手抜き”をして最大の成果をあげられるか。戦略的に考えたほうがいい」(佐々木氏)

そこで佐々木氏が実践してきた、ワーク・ライフ・バランス仕事術をもとに、若手社員が実践しておきたい「ポジティブ手抜き術」を探ってみた。

過去に作成した類似の提案書・企画書はたくさんある

手抜き術1 できる限り、仕事はパクる

「お客様に提案する企画書の草案をつくってほしい」「会議で使う資料をまとめてほしい」……上司や先輩から依頼があったら、まず心がけたいことが、そうした書類やアイデアを“イチから作り出そう”としないことだ。なぜか?

「そんな私が考える『戦略』とは『戦いを略す』ことですよ」と語る佐々木常夫氏 (2017年撮影、撮影:今井康一)

「会社の仕事はたいてい似たことの繰り返しです。営業でも企画でも、毎年同じような時期に似たような案件が発生する。つまり会社の書庫や、上司や先輩のパソコンのフォルダの中に、必ず似たような提案書や企画書がある。こうした諸先輩方が残した優れたレガシーを使わない手はないでしょう」(佐々木氏)

だから提案書や企画書などのドキュメントを、まっさらな状態から作ろうとはしない。まずは「似たようなドキュメントはありませんか」「以前、拝見した企画書のデータをお借りしたいのですが」と、先輩たちに尋ねながら、社内にあるレガシーを借用しよう。そのうえで自分のアイデアをちょっとだけプラスしてオリジナリティーを加える。

佐々木氏は東レの企画室にいた頃、当時の社長が国際会議で使う挨拶文の原稿を指示されたことがあった。その内容が非常に好評で、「佐々木は仕事ができる」「私が言いたいことを見事にまとめている」と大いに褒められ、評価を上げたことがあるという。

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