論争がシカトで終わる、情けない日本の論壇

山折哲雄×竹内洋(その2)

竹内:総合雑誌もあるときまでは、短歌や俳句や漢詩を載せていましたよね。しかし、あるときから、なくなりました。「短歌や俳句や漢詩は論壇とは関係ない」という考えが出てきたのかもしれません。

山折:だからジャンルの細分化、既得権化というのは、知的なものを衰弱させていくんです。

竹内:ああ、そうですね。

山折:たとえば村上春樹の作品はあれだけ大きな話題になりますが、なぜあんなに人気があるのか、本当に読まれているのか、どんな読まれ方をしているのか、それをきちんと議論してほしい。あれは、文学現象ならぬ社会現象、単なる出版社の戦略だといういう声もありますが、それでは議論が深まっていきません。

竹内:分野を区分けすると、知的な生命が衰弱するという典型例が、学者の学会です。既得権と官僚知みたいになってしまって、何も面白くない。今の学会の論文は減点法で書いているので、とにかく載ればいいというだけの話です。

ネットに新しい論壇は生まれるのか

――論争という意味では、インターネットという空間が、論争を活発にするという期待がありましたが、今はあまりそういう状況になっていません。今後、インターネットで新しい論壇が生まれる可能性はあるでしょうか。

竹内:ネット論壇はたまに見ますが、極論を言う人が多いでしょう。刺激閾値をどんどんあげていく。だから普通の日本人の感覚とは違う人たちですね。血が騒いで右でも左でもどちらでも大声で言いたいという感じではないですか。日比谷焼き討ち事件に参集するような群衆ですね。2チャンネルにしても匿名ですから、あれは石を投げる感覚でしょう。私は、ツイッターは野次だと思っています。だって120字で何かインパクトあることを言うわけですから。

山折:私はツイッターは全然、見たことはないけれど、あれは愚痴ではないの?

竹内:愚痴とやじです。一方でフェイスブックは、自慢メディアになっています。ブログもだいたい自慢メディアですね。

(構成:佐々木紀彦、撮影:ヒラオカスタジオ)

※ 対談の続きは12月17日に掲載します

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