「代わりがいない」ということで、「その人に抜けられたら困る」ということばかりが先行し、柔軟な対応ができず、働く女性も人事も、そして現場の人も全て、頭を抱え心労を重ねるということもあります。それは、人数が少ない会社だけでなく、人数が多い会社でもあり得ます。組織力が低く、組織内での連携やコミュニケーションが少ない会社では、1人に任せている仕事量に問題があったり、仕事が属人的になっていたりします。
そして、そのような会社が、対策のひとつとして安易に行うのが、「女性の採用を控え、男性ばかりを採用する」ことや、「重要な仕事は男性に任せ、女性にはいつでも代わりがきくような安易な仕事しか任せない」ということだったりするのです。
少し昔ですが、「女性社員を採用する目的は、男性社員の結婚相手としての目的が強い。だから重要なことは任せず、簡単な仕事でニコニコと気持ちよく、男性社員のサポート役として働いてくれればいい」ということをはっきり言っていた人事担当者がいました。
その方は「女性にも、バリバリ働きたいとか、キャリアを創りたいとかいうニーズばかりでなく、そういう目的のニーズがある女性もいるので、そのニーズを持つ女性にとってはウィンウィンだ」という話もされており、確かにニーズがあるなら一概に否定できるものではありません。
場当たり的な対応をする会社は人が離れる
ただ、「この人事担当者は、自社が今後、危機に陥るようなことはないという根拠のない安心感があるから、女性のキャリア形成は考えずに、行く末を自社の男性社員だけに委ねる前提の採用ができるのだろうか」と、話を聞いた当時、考えていました。
性別問わず、個々の自立がより問われるこのご時世に、こんなことをハッキリ言う人事担当者は、なかなかいないと思いますが、オモテには出さずとも、それに近い考えが垣間見える方は少なくありません。さらに、現場の男性社員になると、女性のキャリア形成に対する意識の低い人が、まだまだ多いと感じています。
女性の採用を抑えるという安易な対策をしている会社や、男性偏重という時代遅れの価値観を持つ会社は、だいぶ減ってはきているとは思いますが、まだあちこちに存在しているように思います。
私は、このような会社は、いずれ淘汰されていくと考えています。女性のライフイベントへの対応の問題だけでなく、働き方改革法への対応、介護離職防止問題への対応など、短い勤務時間で生産性をあげていくことが、より強く求められています。そんな時代の流れの中で、問題と向き合わず場当たり的な対応をしている会社は、しんどい働かせ方に人がついてこられず離職者を増やし、更に生産性も、働く環境も悪くなるという悪循環に陥ります。最終的には利益を出せず、人もいなくなり、ひどい場合には法的に罰せられるような形で、会社の存続が絶たれると考えています。
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