記事には反響があり、読者から転載先を含めて11月までに500件以上ものコメントをいただいた。驚きだったのは、学生と思われる人たちからの意見よりも、社会人の先輩から若者に向けた一過言が目立っていたことだ。
時に厳しい言葉で綴られる見解は、安易な企業選びというテーマを飛び越えて、各人の「働くとはどういうことか」論になっていた。もう少し砕いて言えば、仕事にやりがいや希望を求め続けるスタンスを是とするか非とするかだ。
そこで今回は、そうした主張を、コメント欄に留めておかずに、記事として学生や若手社員に届けたいと思う。考え方の大枠をつかむことに主眼を置き、コメントは取材班で分析し、3つに分類した。
「天職を見つけるのが人生では無い。やりたい職を探し、合わなかったら違う職を探すのもありだと思います」
「肌感覚で合わないと思ったら、別の会社に行くのは今時当たり前だと思う。(記事中の若手社員は)新しい道で生き生き働いてて、「我慢するばかりがいいことではない」がよく表れてる」
「回り道でも本人が結果満足できる仕事や暮らしにたどり着けばいいと思う。…(中略)…答えは一つじゃない」
「若いからなんとかなる。年取ると転職もままならない」
「なんだか転職が悪いような雰囲気だけど、20代の内は別に好きなだけ転職しても問題ない。会社にとっては迷惑だけど。30代になるとさすがに転職は厳しいからそれまでに決めればいい」
4割は若手の早期離職に肯定的
寄せられたコメントの4割程度は、若手社員が早期に新しいキャリアを目指すことに肯定的だ。
就活時に業界や企業をどれだけ研究しても、学生が把握できる職場の実態は限られる。具体的な仕事内容や配属先、職場の細かな人間関係など、実際に働いてみなければわからないことが山ほどある。就活時に描いた理想と現実のギャップを肌で知り、より自分に合う環境へ移る。そんな新しい一歩を踏み出す勇気や行動力を尊重し、応援する声が目立っていた。
また困難な状況に直面したときに、耐え続ければ必ず道が開けるとも限らない。自分の力ではどうにも変えられない現実へのアクションの取り方として、短い期間で辞める選択は何も悪くないという考えだ。
早期の退職や転職については、当然、肯定的な意見ばかりではない。石の上にも三年、「忍耐が足りない」という意見もある。