具体的に削るものとは? 平野氏は「卓上カレンダー」「スマホの通知」「PCモニターに貼ってあるメモ代わりの付箋」などを指摘する。
え?と思われるのも当然だ。スケジュールを確認できるカレンダーにしろ、ビジネスツールとして欠かせないスマホにせよ、むしろ仕事を早めることを手伝ってくれそうなツールだ。
「それが時間のロスを生むのです。たとえばデスクトップPCのモニター横に、『Aさんにメール』『B社に発注』などのタスクを書いた付箋を貼る人は多い。仕事をしていても目に入るので、忘れないという効用はある。しかし、ちらっと目に入るたびに『メールしなければ』『発注、忘れないようにしないと』と、意識が一瞬でも取られてしまう。集中力が切れて、全体でみると仕事が遅れるわけです」(平野氏)
同じ理由で、SNSやメールなどが届いたことを知らせるスマホのプッシュ通知や、PCモニターの横などに置かれた卓上カレンダーも、仕事をする中で視界に入り、気が散る原因になる。集中力を取り戻すのにも時間がかかり、効率的に仕事をする環境とはいいがたい。
だから、卓上カレンダーや付箋はいっそ捨てて使わなくするか、机上の見えない場所に移動する。スマホは画面が見えないようにしておくか、アプリ通知をオフにしておくのがいい。メールはむしろ、「ちょっと集中力が切れたな……」と感じたタイミングで、自ら確認したほうが、気分転換になってよさそうだ。
いずれにしても仕事をささいなことで止めないことが重要だ。集中力を維持するためにも、“ドント・ストップ・ミー・ナウ”でいきたい。
締め切りよりも「時間の確保」を
仕事に追われる人、納期に遅れる人――。こうしたタイプの特徴の1つが仕事の「締め切り」にだけ目を向けてしまうこと。仕事にかかる「投下時間」への意識が薄いのだ。
それはスケジュール帳、あるいはスケジュールアプリの使い方から見えてくる。仕事に追われがちな人の多くは、スケジュールアプリやスケジュール帳に「締め切り日時」しか書かない。
たとえば、実際は早くても半日はかかりそうな企画書作成の仕事。それなのに、スケジュールには「金曜日17時」のところに「〆切」とだけ書く。
実際の投下時間が見えないので、いつからその仕事を始めればよいか、スタート時間が見えない。結果、締め切り直前の1時間前などになって「うわ、もう締め切りだ! ヤバい」と手をつけはじめて、結果、遅れる。ほかの仕事の締め切りも迫り、あたかも“バイシクル・レース”のような自転車操業に陥るわけだ。
そこで納期のある仕事をスケジュールに記すときは「締め切り日時」とともに「投下時間を見積もって」書き記したい。たとえばGoogleカレンダーなどを開き(もちろんほかのスケジュールアプリ、あるいはスケジュール帳でもいいが)、前出のような「企画書作成」なら、まずは時間の見積もりからはじめる。
「だいたい半日はかかりそうだな」と予測したら、13~17時の時間帯を「企画書作成」などと書いてキープする。作業のための時間を確保する、「自分へアポをいれる」やり方だ。
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