岐阜大、96年新設学部「廃止」の大いなる波紋 地域科学部→経営学部、教員や学生は猛反発

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一方、大学側は今月20日に大学としての方針を最終決定し、新学部の設置となれば文科省との交渉に入る予定だ。なぜ反対の声を振り切るようにここまで急ぐのだろうか。

理事らは「発展的な再編」と主張

岐阜大の地域科学部は1996年に開設。日本で最初に「地域」の名を冠してできた学部だ。地域政策学科と地域文化学科の2学科で「産業・まちづくり」「自治政策」「環境政策」「生活・社会」「人間・文化」「国際教養」の6コースから学ぶ。「文理融合」で地域を学ぶというユニークさが評判となり、後に各地の大学で生まれる「地域系学部」のモデルとなった。

岐阜市郊外にある岐阜大学のキャンパス(筆者撮影)

近年も学生募集は堅調で、偏差値は上昇傾向、卒業生の就職率も100%近くあり、うち半数弱は県内の企業や自治体に就職している。地方大学の中ではむしろ健闘している優良学部なのだ。

富樫幸一学部長は「地域づくりを産業、政策、環境、福祉、文化などさまざまな観点から学べるのがいちばんの特長。フィールドワークを重視したカリキュラムで、自治体に就職した卒業生も即戦力として高い評価を得ている」と主張する。理系学部の受託研究のように、すぐに大きな資金獲得にはつながらなくとも、商店街や中山間地域のまちづくりに関わることで堅実に地域のニーズに応えているという。

広告会社に内定している現役の地域科学部4年生は「学部で幅広く学んだことを就職活動でマイナスに評価されたことはない。トヨタ自動車とソフトバンクが提携したように、異なる分野をつなぎ新たな価値を創出することを期待されていると感じた」と話す。

一方で地域科学部の「わかりにくさ」を指摘する声もくすぶっていた。学問領域の幅広さが逆に「広く浅く」と受け止められ、深く専門的な人材も育てるべきだという声が学内だけでなく、地元経済界からも寄せられていたようだ。

そこで、より明確さを打ち出せる「経営学部」の新設が検討され始めた。

大学ホームページに公開されている教育研究評議会の議事録では、新学部の設置について2015年度から議論されていることが確認できた。ただし、当初は既存学部の統廃合はせず、教育・地域・医・工・応用生物の各学部が少しずつ定員を減らして新たな学部を立ち上げる計画だった。地域科学部の改組について言及されている記録はない。

ところが今年3月、大学側が新学部開設について文科省に説明に行くと、学部増設による運営コスト増大の懸念や「地域科学部との類似性」を指摘されたという。そこで大学側は突如、2021年度で地域科学部の募集を停止し、入れ替わりに「経営学部(仮称)」を開設する方針を決め、今年10月に学内の教育研究評議会に諮った。

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