アマゾンが「AIラジコン大会」を開催する理由

急成長クラウド子会社「AWS」が巨大イベント

米アマゾンのクラウド子会社、アマゾン・ウェブ・サービス(AWS)は、ラスベガスで約5万人を集めた巨大イベントを開催した(記者撮影)

米アマゾンがカジノの街・ラスベガスを“占拠”――。世界中から5万人以上が集まる6日間の巨大イベントが、11月30日に幕を閉じた。アマゾンのクラウド子会社、アマゾン・ウェブ・サービス(AWS)の年次開発者会議「re:Invent(リインベント)」である。今年で7回目を迎えた。最新技術に乗り遅れまいと、会場となった7つのホテルは参加者でごった返した。

「ビルダー(Builder:開発者)たちは、今すぐ、何でも欲しいと思っている」。28日の基調講演に登壇したAWSのアンディ・ジャシーCEOはそう語り始めた。同社はスタートアップから大企業まで、世界で数百万、日本で10万以上の顧客を抱える。

企業はビジネスの目的に合わせて、AWSがクラウド上に用意した140を超えるサービスを使いこなす。大量のデータを格納してAI(人工知能)で分析したり、ウェブサイトやアプリを動かしたり、業務システムを走らせたりなど、使い方はさまざまだ。企業のソフトウエア開発者やシステム技術者=「ビルダー」は利用しているうちに、これが欲しい、あれが欲しいと感じる。ジャシー氏の冒頭の発言は、そんな現状を指したものだ。

つねに最新機能に触れることができる

ストレージやデータベース、ネットワーク、データ分析、AI・機械学習、セキュリティなど、AWSは大小にかかわらず毎日のように各サービスに新機能を追加している。2017年は1430、今年はリインベント期間中までに約1800の機能が加わった。「顧客から欲しいと言われたものを、ひたすら開発している」とジャシー氏は強調する。それだけAWSのユーザーは、つねに最新の技術に触れることができる。

AWSのアンディ・ジャシーCEOは基調講演で、インフラやサービスの充実度で競合を圧倒していることを強調した(写真:AWS)

クラウドに移行すれば、自社でデータセンターを建てて管理する必要がなくなり、サーバーのメンテナンスなどに煩わされることもない。サーバーがダウンしないように、処理速度を高められるように、といったインフラの整備はすべてAWSがやってくれる。しかも何でも“使った分だけ”が課金されるため、システムコストも大きく削減できる。たとえばビッグデータの処理では自社サーバーの半額以下だ。

2006年の事業開始以降、AWSは驚異的な成長を遂げ、現在、クラウドベンダーとしての世界シェアで51.8%という圧倒的強さを誇る(米ガートナー調べ)。競合の米マイクロソフト(13.3%)や米グーグル(3.3%)とは大きな差だ。今やアマゾン全社の利益の半分超を稼ぐ。しかもサービス開始以来、AWSは67回の値下げを実施。顧客が求めるなら収益も削る。高い成長率を維持できているからこそなしうる業だ。

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