だからニコニコの有料記事に10万人が集った 雑誌系出版社の眼前に広がる“不都合な真実”
「もし高校野球の女子マネージャーがドラッカーの『マネジメント』を読んだら」(岩崎夏海著、ダイヤモンド社)の編集者、加藤貞顕氏が代表を務めるピースオブケイクが運営する「ケイクス」も、個々のクリエイター(書き手)が多様な切り口で記事などのコンテンツを提供している。現在は週150円で3000本以上のコンテンツを読み放題としている。
「ネットの発展により、個人の趣味・嗜好がかなり細かくセグメントに分かれ、セグメントごとに消費が閉じてしまっている。有料モデルとしていることでPVは稼げないが、コアなファンをグリップできれば儲けられる。今は赤字だが、会員数は着実に増えており、1年後の黒字化を目指している」(加藤氏)
追うべきはPVか、有料化か
ネットの世界では、PVの多寡がサイトの実力を示す一つの基準となっており、サイト運営者はその獲得に躍起だ。ニュース系サイトがヤフーをはじめとするポータルサイトや、スマホの世界で最近勢いを増しているグノシーやスマートニュース、アンテナ、フリップボードなどのニュース系アプリなどに記事を供給するのは、PVの拡大を狙うためである。
ただ、その過程では媒体のブランド力は発揮できても、パッケージ力はそがれる。記事は個別に切り分けられて読者に閲覧されるからだ。PVを追うかぎり、そこから抜け出すのは難しいかもしれない。
一方で、コンテンツの有料化を進めるとしたら、読者におカネを払ってもいいと思わせる専門性の高い閉じたコミュニティをネットの中で形成し、そこにコンテンツを供給していくというやり方がありそうだ。ただ、それではPVは稼げない。そして、これまでのように同業他社だけがライバルではなく、個人とも戦わなければならず、みずからも個人をどう生かしていくかを考える必要がある。
自分たちが悩みを深くする間に、リアルなマガジンでは実績のなかったドワンゴのブロマガがどんどん有料読者を獲得している。雑誌系出版社にとっての“不都合な真実”は、すでにその眼前に広がっているのである。
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