11月に入り、「年末調整」の季節となっている。勤め先で税金関係の書類の提出を求められる。年に1度の恒例行事だが、手間といえば手間。それでも自分が納める所得税について、わざわざ自分で税務署まで行って確定申告をすることを思うと、職場で天引き(源泉徴収)してくれるだけまだマシである。
ところが今年の年末調整は、昨年と違って大きな変化があった。それは配偶者控除に関する提出書類だ。
配偶者控除に関する提出書類(正式には「給与所得者の配偶者控除等申告書」)が、昨年に比べてかなり複雑になり、手間がよけいにかかることになったのである。配偶者があって雇われている人は、男女を問わず、多くの人がその書類の提出を求められ、めんどうな思いをした人も多いだろう。おまけに、書類を提出したはいいが、その結果として、いきなり12月の給与で調整されて、12月だけ10万円前後も手取り所得が減る人が出てくる可能性まであるのだ。
安倍政権の見直しで複雑な仕組みに
なぜそんなことになったのか。
それは今年から「配偶者控除」が見直されたからだ。2018年から配偶者控除を見直すことを決めたのは2016年12月。その顛末は、東洋経済オンライン本連載の拙稿「配偶者控除、結局は『小幅な修正』だけだった」で、述べていたところである。
2017年以前も配偶者控除はあった。しかし、そんな複雑な書類提出をしなくてもよかった。なぜなら、配偶者控除は本人の所得にかかわらず、与えられていたからである。2017年までは、扶養する配偶者を届け出ていれば、それ以上の情報を書類に書かずとも配偶者控除が与えられた。ところが2018年からは、本人の所得が一定以上高いと、配偶者控除が適用されないことになった。
それならばなぜ、手続きが面倒になるような見直しになったのか。
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