「ボロボロにされた女性」が集う施設のリアル 多くは性暴力の被害者、加害者は身内

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敷地内にある喫茶室は女性たちの職場であり、地域の人たちとの交流の場でもある(編集部撮影)

生活保護や一時保護、就労支援、またひとりで生きていけない深刻な状態の場合は、婦人保護施設が利用できる。女性たちは安心できる環境で苦しみを癒やしながら、少しずつ社会に出て生活をつくり直していく。

現行法はとにかく運用しづらい

「私たちは古い法律である売春防止法を改正して、新しく女性自立支援法、性暴力禁止法というのを作ろうと動いています。男性優位社会の中で生きづらい女性を社会で拾いあげ、女性が生きやすい新しい法律を作っていこうということです。性暴力禁止法は名称そのまま、社会から性暴力を絶対なくしていこうということを目的にしています」(横田施設長)

単身女性を救済する法律が売春禁止法しかないのは、女性にとって不利益は大きい。もし、自分自身が苦境に陥って支援されても、今度は差別を受けるなど、二次被害の可能性もある。現行法はとにかく運用しづらいというのが、女性支援の現場からの最も大きな意見、要望だった。

婦人保護施設には、大きな作業場がある。女性が大きな木製の編み機を使ってストールを織っていた。

機織り機が設置された作業場。工賃は、1日5時間週5働いて、1カ月1万5000円程度(編集部撮影)
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中村 淳彦 ノンフィクションライター

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なかむら あつひこ / Atsuhiko Nakamura

貧困や介護、AV女優や風俗など、社会問題をフィールドワークに取材・執筆を続けるノンフィクションライター。現実を可視化するために、貧困、虐待、精神疾患、借金、自傷、人身売買など、さまざまな過酷な話に、ひたすら耳を傾け続けてつづけている。著書に『東京貧困女子。』(東洋経済新報社)、『崩壊する介護現場』(ベストセラーズ)、『日本の風俗嬢』(新潮社)、『名前のない女たち』シリーズ(宝島社)など多数。Twitterアカウント「@atu_nakamura」

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