アマゾン従業員が賃上げを心底喜べない理由 ボーナスも株式ももらえなくなる?

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ミネアポリス(ミネソタ州)近郊の配送センターで夜間シフトで働いているケイティ・アイバー(写真:Jenn Ackerman/The New York Times)

アマゾンの上級副社長を務めるデイブ・クラークは10月2日、ロサンゼルス近郊の配送センターで作業台の上に立ち、従業員の時給を引き上げると発表した。「アマゾンの新しい最低賃金は時給15ドル」とクラークが言うや、その声は10秒以上にわたって歓声とハイタッチの音にかき消された。

クラークがツイッターに投稿したこのときの動画は40万回以上再生された。これまで繰り返し、アマゾンにおける労働者の待遇を非難してきたバーニー・サンダース上院議員はこの賃上げを歓迎して動画をシェア。こちらも数十万回再生された。

年単位ではかなり減収になる可能性も?

だが全米各地の配送センターでは古株の労働者たちから、これまでにアマゾンが示した情報から、年単位ではかなりの減収になるかもしれないと怒りの声が上がっている。

アマゾンが賃金を引き上げるのはうそではないし、大半の従業員にとってはプラスになるだろう。だが今後は株式報酬や月々の手当がなくなるため、報酬総額が減ると考える人もいるわけだ。

この溝を埋める方法を見つけられるかどうか、首都ワシントンの政界は注視することだろう。10月4日にサンダースはアマゾンの広報責任者であるジェイ・カーニー上級副社長に書簡を送った。

ニューヨーク・タイムズが入手したコピーによれば、「ストックオプションを受け取っていたはずの勤続2年以上の従業員の報酬総額が、今回の変更の結果、どんな影響を受けるのか確認するようアマゾンに求める」という内容だ。

この件についてサンダースに問題提起したのは労働者たちだったという。広報担当者によればまだアマゾンからの回答はない。

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