アマゾン従業員が賃上げを心底喜べない理由 ボーナスも株式ももらえなくなる?
これまで株式報酬やVCPの対象ではなかったパートタイム従業員など、今回の賃上げで潤う労働者は数多い。
またアマゾンは近々、制度変更による減収が起きないように一部の従業員の報酬を調整するとしている。
「報酬総額」をめぐる一部の従業員と会社の見解のずれは、結局のところ会計ルールの問題に帰着するのかもしれない。株式は権利を付与されてから2年後に実際に交付される。アマゾンに言わせれば2018年に交付された株式は法的には今年の報酬として扱われる。だが従業員の中には、2年前の労働に対する報酬だと考える人もいる。
新たに株は取得できなくなる
この見解のずれは――原因が情報の伝達ミスなのか情報不足なのかはともかく――全米の配送センターで特に古株の労働者たちの間で問題になっている。
11月になれば2つの報酬制度の改変を巡る議論にも終止符が打たれるだろう。1つ目は毎月支払われるVCP手当だ。精勤手当として最大4%、一定の生産性目標に到達したらさらに4%のボーナスが支払われることになっていた。
アイバーによれば、管理職との意見交換を促進するために職場に置かれたホワイトボードには、同僚の誰かが「VCPの復活を!!!!」と書いていたという。
ちなみにまもなく始まる年末商戦は、VCP手当が通常の2倍に増額される時期として認識されていた。つまり通常の給料に最大16%も上乗せして報酬が支払われるはずだったのだ。
もう1つが、勤続2年以上の従業員にアマゾン株を毎年、付与するという制度だ。最近では2株(現在の株式相場では3725ドル相当)が付与されたが、今後は新たな株をもらうことはできない。