アマゾンの物流戦略はここまで徹底している 日本で宅配クライシスを乗り切れた真の理由

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お馴染みのアマゾンのダンボール。すっかり日本人の生活にも溶け込んだ感がある(撮影:梅谷 秀司)

宅配会社を分散化し、UPS依存から脱却

アマゾンはその売り上げ拡大の歴史の中で、利用する宅配会社の数を増やしてきています。

アマゾンのミッションの1つは「カスタマーセントリック」=「顧客中心主義」です。

購入したお客様に届けられないという事態に陥らないよう、中長期の視点から運べるキャパシティを増やしてきました。

拙著『アマゾン、ニトリ、ZARA…… すごい物流戦略 』で解説しているように、私は米国で数多くのネット通販物流センターを直接見てきましたが、そのほとんどがUPSを9割以上利用していました。

アマゾンの出荷量が今後も増加していくだろうと考えたUPSは「これ以上運べない」と音を上げ、その結果、アマゾンはFedEx(フェデックス)を多く使うようになりました。その後、競争力の強化という意味あいからも、ラストワンマイル(お客さんの手元に届けるための最終のルート)の分散化を図っています。

その一例が、宅配便シェア第3位のUSPS(アメリカ郵便公社)の活用です。USPSは業界3番手というものの、上位2社に比べて物流品質で大きく劣る、というのがアメリカでの評価でした。

一方、住宅地への配達は、郵便物もあるため、密度が高く、低コストだという利点があります。このメリットを活かし、マイナス面を最小限に抑えるために、USPS専用の仕分けセンターを用意し、USPSは最寄りの郵便局からユーザーの手元まで届けるだけですむ体制を作り上げました。またUSPSは労働組合が強く、従来、土日の配送は行っていなかったのですが、この体制構築により、アマゾンの荷物については土日配送も可能になりました。

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