アマゾンの物流戦略はここまで徹底している

日本で宅配クライシスを乗り切れた真の理由

多少、品質に問題があったとしても、アマゾンが構築する先進のシステムにより、USPSが抱えるそのマイナス面は十分にカバーすることができ、そればかりか、土日配送という追加サービスを引き出し戦力化しました。アマゾンの高速PDCAサイクルで、USPSは、その品質を上げることができたのです。

さらに、特定の州を中心として輸送ネットワークを持つ地域限定の宅配便事業者である、地域宅配会社も活用するようになりました。

そうした結果、2012年時点で、アメリカ・アマゾンが利用している宅配会社の割合は、UPSが30%、FedExが17%、USPSが35%、地域宅配会社18%となり、UPS依存から大きく脱却することができたのです。

このようにアマゾンはカスタマーセントリック経営の考えに基づき、たとえ宅配個数が急増しても顧客に届けるという強い決意から、「上位2社依存からの脱却、地域宅配会社やUSPSの活用」という策を実行してきました。

物流版ウーバー「アマゾンフレックス」

2012年に入ると、アマゾンはまた新たな展開を図ります。

今度は、アマゾンユーザーが多く住むエリアに独自の配送センターであるフルフィルメントセンター(FC)を積極的に設けるようになったのです。消費立地型への戦略転換をしたのです。

この2012年は、アマゾンが初めて消費税の高いカリフォルニアにフルフィルメントセンターを作った年です。消費税よりお届けスピードを優先したのです。

物流センターが、ユーザーから離れた立地にあると、当然ながらユーザーに届けるまで時間がかかります。その時間を短縮するために、消費立地型の物流センターを開設したのです。また、これにより、地域宅配会社の利用もしやすくなりました。

さらにアマゾンは、生鮮食品の即時配達サービス「アマゾンフレッシュ」、最短1時間配送の「プライムナウ」を立ち上げるにあたって、既存の宅配事業者では対応が難しかったことから、自前の配送体制の構築を図りました。消費立地をさらに追求した“超”消費立地型の物流センターを開設したのです。

2015年の繁忙期からは、一般人の空き時間を利用して配送を行ってもらうという「アマゾンフレックス」も導入しています。物流版ウーバー(Uber)と言われるように、「この時間だったら運べますよ」という一般の人をスマホアプリ上でマッチングさせ、お客さんのもとに購入商品を届けてもらうもので、時給が普通の配送会社のアルバイトに比べ高く設定されていることもあって、競争倍率はかなり高いようです。

アマゾンのジェフ・ベゾス氏は、初期のころからUberに個人的に出資しており、また、同社にアマゾンのグローバル担当役員が移籍してそのノウハウを吸収し、アマゾンフレックスの導入前に戻ったりもしています。

自分で車を持っていればエントリーできますから、子どもを幼稚園に預けている間に配送する主婦、失業中の人、起業の準備中で時間のある若者など、さまざまな人がアマゾンの配達に関わっています。実際に現地のプライムナウの拠点でプリウスやスバルなどの車が積み込みを待っている様子を見ました。通勤の帰り道に宅配の仕事をするようなこともできるので、都合のいい副業にもなります。

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