安倍政権が揺らぐ可能性はなお低い
日本の国会論戦では、某学校法人の件に多くの時間が費やされている。攻めどころが乏しい安倍政権に対して、野党側はこの案件の最大限の活用を図り、またメディアでも真偽不明の情報が飛び交う情勢となっている。万が一、批判の対象となっている学校法人による国有地取得の経緯に政治家の関与や不正があれば、安倍政権にはダメージになりうるだろう。
産経新聞は3月6日に「現状を打開するには予算成立直後に解散すべきだ」と複数の首相側近が述べたとして、早期解散論に転じつつあると報じている。もちろん、匿名の記事であり、信憑性は不明である。上記の国会情勢、7月に控える東京都議選の行方などの変数次第では、早期解散も無視できないシナリオなのかもしれない。
筆者は、2017年前半までは佐藤・木内両日銀審議委員の後任人事くらいしか、日本固有の要因として金融市場に及ぼす材料はないと考えていた。それゆえ、こうした事態はやや想定外である。ただ、いずれのタイミングで選挙が行われても、やや支持率は低下していても安倍政権が揺らぐ可能性は低く、「日本銀行による強力な金融緩和継続」とのシナリオは変わらないとみている。
一方、国内の経済面で最も注目されているニュースは、大手宅配企業が値上げに動き出している件だろう。たとえば、経済メディアなどで「宅配クライシス」などと、大々的かつセンセーショナルに報じられている。人手不足で宅配サービスが困難に直面、また宅配という便利なサービスがこれまでのように使えなくなるという、「消費者の不安」に訴える記事が散見される。
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