アスクル、倉庫大規模火災から学ぶべき教訓 鎮火から10日、初の会見でも出火原因は不明

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謝罪するアスクルの岩田彰一郎社長(中央)。会見はほぼ2時間に及んだ(撮影:尾形文繁)

埼玉県三芳町の物流倉庫が大規模火災に見舞われた事務用品通販大手アスクルは3月9日、都内で記者会見を開いた。

埼玉県の物流倉庫は地上3階建て、延べ床面積約7万2126平方メートル。202億円を投じて2013年に稼働した最新鋭のセンターで、全部で7つある同社の物流センターの「心臓部」だった。

火災は2月16日に発生した。最新鋭の設備ということもあり、当初はほどなく鎮火するとも思われたが、鎮火にこぎつけたのは発生から12日後の2月28日。東京ドーム1個分にあたる約4万5000平方メートルを焼損した。3月7日に三芳町で近隣住民に対する説明会を実施、それを終えてようやく開いた記者会見だった。

焼損は想定よりも軽い?

大規模火災後初めてなだけに、会見は大きな注目を集めると思われていた。だが、集まった報道陣は50人ほど。約200人を収容する会見場にはかなりの空席が目立った。一方、会見を謝罪から始めた岩田彰一郎社長は終始、緊張した面持ちだった。

会見する岩田彰一郎社長(撮影:尾形文繁)

今回の会見でわかってきたのは、主に二つだ。一つは「東京ドーム1個分の火災」という表現ほどには、埼玉の物流センター(正式名称「アスクルロジパーク首都圏」)が影響を受けていない可能性があることだ。同センターの資産は帳簿上120億円(土地などを除く)とされ、そのほとんどが使い物にならないと見る向きもあった。

詳細は消防の調査や保険会社による査定を経ないとわからないが、火災で激しく焼けたのは主に2階と3階部分。配送車などが出入りし物流センターの土台や躯体(建築物の構造体、基礎部分)を形作る最も重要な1階については、当初想定より影響が少ない可能性が出てきた。

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