アスクル、倉庫大規模火災から学ぶべき教訓

鎮火から10日、初の会見でも出火原因は不明

会見では出火原因については公表されなかった(撮影:尾形文繁)

今回のアスクルの火災を受けて、総務省(消防庁)と国土交通省は、各社の大規模倉庫の防火対策の実態調査を進めている。延べ床面積5万平方メートル以上の倉庫を対象に、全国各地の消防本部などが立ち入り検査。それを踏まえ、有識者検討会で対策を検討する方向という。検査対象の倉庫は全国で100以上にのぼる見通しだ。

ダントツの安全性を目指せ

こうした調査からも改めてわかるが、倉庫の安全については総務省・国土交通省の双方が所管する。法規でいえば、消防法では消火器や火災報知機などの取り付け、建築基準法によって防火シャッターの設置などをそれぞれ義務付けている。

二重の規制により安全性が高まるとも思われるが、都市防災などに詳しい北後明彦・神戸大学都市安全研究センター教授は「総合して安全を担保するという視点が不足している」と指摘する。

こうした消防・建築双方からの視点の重要性は「戦後1960~70年代、ビル火災が頻繁に起きたことで指摘され、双方の専門家が会合を重ねるなどして、改善が施されてきた。だが、2000年に改正建築基準法が施行されたことに加え、地方分権が進んだこともあり、従来に比べ規制が行き届かなくなった側面がある」(同)。今回の火災事故を踏まえ、今後消防法改正も見込まれるが、より実効性のある防火体制の構築が不可欠だ。

記者会見で岩田社長は「今回の物流センターの火災は、(今年実質創業20年目を迎えたアスクルとして)大変大きな節目となった。今後は現場管理を含めチームを再強化し、同時に最新の技術を投入して、次世代の物流網を再構築したい」と語った。

一定のコストはかかっても、一段高い独自基準を作る――。アスクルにいま必要なのはこのような気概だろう。そして効率を追求する余り、安全性が置き去りにされていなかったか。改めて検証する必要がある。

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