「宅配クライシス」は日本経済正常化の証拠だ

日本のサービス業の生産性は決して低くない

「宅配クライシス」の本質とは何か。それは、eコマースの進展で「成長産業」となっている宅配業が、人手不足などでボトルネックに直面していることである。実際に、1月の有効求人倍率をみると、自動車運転で2.7倍、梱包も3倍近くまで上昇している。

過去20年以上のデフレが続く中で、eコマース大手が表面上は無料で配達するなど、宅配サービス料金は極端に抑制されてきた。ところが、2013年のアベノミクスによる金融緩和のレジームチェンジで、失業率が低下するなど、労働市場では需給改善が始まった。その後、いわゆるブラック企業はかなり淘汰され、そして労働集約的サービスに依存する宅配業においては、人的コストを転嫁せずにサービスを維持するのが難しくなっている、ということである。

「宅配の値上げ」は日本経済正常化の証拠

金融緩和を強化してもインフレ率がこれまで持続的に上がらなかった1つの要因は、労働者の賃金が抑制され続けたことにある。宅配業の主たるサービスコストは、ドライバーなどの人件費だが、サービス業の代表格である宅配業において値上げが始まるということは、2%インフレ率安定に向けて、ようやく日本経済が正常化しつつあることを意味する。つまり、過去20年以上のデフレ長期化で、「異常な低賃金」が常態化していたが、それが是正される動きが広がりつつあるということだ。

もちろん、値上げ戦略の妥当性をアピールしたいという宅配業の思惑も、一連の経済メディアの報道に影響しているかもしれない。また、値上げの話とは別に、大手宅配業者において不払いだったサービス残業が見つかり、それが支払われると報じられている。

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