気軽に始めて職場崩壊「危険な人事制度」2選 「目標管理、インセンティブ」御社は大丈夫?

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以下に、安易に導入すると悲惨な目に遭う代表的な人事制度を2つ挙げて、具体的に説明いたします。

危険な人事制度その1:目標管理制度

かのドラッカーが提唱したとされ(実際には日本での使われ方は違いますが)、現在でも多くの企業で「評価制度と言えば目標管理制度のこと」と素朴に思われるぐらい広まっているのが、MBO(Management by objectives)とも言われる目標管理制度です。

簡単に言ってしまえば、期初に具体的な目標を立てて、達成基準を作り、期末にその達成度によって評価を行うというコンセプトの制度です。慣れた人にとっては当たり前のもののようにみえますが(私もそうでした)、これの何が問題なのでしょうか。

問題1:目標の陳腐化

まず、環境変化が激しい会社にとっては、半年なり1年なりの期間の具体的な目標を立てるということ自体が無意味な場合があります。特にベンチャー企業は文字どおり日々変化しており、半年後のことなどわかりません。

それを無理に目標設定してしまうと、すでに環境が変化しており、期初の目標は陳腐化してしまいます。きちんとしようすれば、環境に合わせて、期初の目標を修正し続ければよいわけですが、そこまで暇な会社はなかなかありません。

結果、陳腐化した目標が残ったまま、期末を迎え、「本当にこの目標で評価していいのだっけ」ということになるのです。

問題2:不公平な目標

うちの業界はそこまで変化は激しくないよ、というところでも落とし穴はあります。「具体的な目標」という曖昧模糊としたもののレベル感を、比較評価するグループごとに合わせることがかなり難しいということです。

同じ等級(グレード、職級等、会社によって呼び名は異なります)の人なら、同レベルの基準で評価すべきですが、これが難しい。同一等級でも期待の星には「お前ならここまでやってほしい」、ギリギリの人には「少なくともここまでは頑張れよ」と目標レベルを変えてしまいがちなのです。

期待の有無と人事制度上の目標は分けなければならず、期待がどうあっても目標難易度は同じでないといけません。ただ、日常的には、やはり期待の人には高い目標でモチベートするわけですから、必然、人事制度上の目標と、日常的な目標というダブルスタンダードが生じてややこしいことにもなります。

問題3:手抜き問題

最も深刻なのが、「達成度」で評価をするという点です。どれだけやれば100%なのかということが決まってしまえば、100%までやった社員は当然ながら安堵して、気持ちがゆったりしてしまいます。もう少し頑張れば目標の120%はいけるかもと思っても、手を緩めて「次の期のための取っておこう」などと考えたりします。

しかし、急成長中の企業などにとって、期初に決めた100%というゴールなどは「仮のゴール」にすぎず、やってみてもっともっと行けそうなら、どんどん行ってもらいたいはずです。それが会社全体の成長につながるわけなのですが、100%を決めてしまったら、会社のここかしこでブレーキを踏む社員が出てきてもおかしくありません。

以上が代表的な問題点です(ほかにもありますが)。

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