気軽に始めて職場崩壊「危険な人事制度」2選 「目標管理、インセンティブ」御社は大丈夫?

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もちろん、これだけ目標管理制度が普及するのは理由があるからです。経営者がやってほしいことを社員にきちんとやってもらうという意味では、管理のしやすさは抜群です(実際にやるかは別として、あくまで管理のしやすさは)。

社員にとっても、自分が何をすればよいのかが明確になるので、変に逡巡することなく行動が早くなります。それが本当に合っているか否かは別とすれば、評価の納得度もある程度担保できますし、目標を明確にすればするほど評価行為の負荷も低い。

このように当然メリットもたくさんあるのですが、上述のように、会社の状況によっては副作用のほうが強くなることもある点を肝に銘じていただければと思います。

危険な人事制度その2:インセンティブ制度

これまで自らも高い達成モチベーションを持ち、のし上がってきたような経営者に多いのは、「高い評価の人には高い報酬で報いれば、どんどん頑張ってくれるだろう」という考え方です。そういう経営者が、それまでは自分で全部見渡していた組織が、人数の増加などによって見切れなくなり、権限委譲をして人に任せることが必要になったときに導入しがちな報酬制度が、インセンティブ制度です。

これも簡単に説明しますと、評価が高ければ高い報酬、低ければ低い報酬とメリハリをつけるという報酬制度、報酬のうち安定的な固定部分を少なくして、評価によって変動する部分を多くする制度(インセンティブ比率が高いとも言います)です。

メリハリをつける代わりに与えるのが自由度です。「自分のやりたいように自由にやれ」ということです。

「これをこのようにやれ」と具体的に示しておいてそのとおりにやったのに成果が出なかった場合、責任をすべて行為者に押し付けるわけにはいきません。むしろ指示した側の責任でしょう。

なので、インセンティブ比率を高めるのであれば、ある程度の行動の自由度を与える必要がでてきます。「自由と自己責任」という言葉がよく使われるようになるのも、インセンティブ制度を導入する際です。さて、これはどこが問題なのでしょうか。

問題1:人は自由にすると足が止まる

1つは、経営者が思うように、人は自由にすれば自律的に動くわけではないということです。

心理学者エリッヒ・フロムの古典的著作『自由からの逃走』ではありませんが、人は自由になりたいと願うくせに、本当に自由になると何をしてよいかわからなくなってしまうことも多いのです。ある程度スキルがあり、成熟している人材以外にとっては、「自由にしていいよ」という言葉は「脅迫」です。極端ですが「奴隷の自由」という言葉すらあります。

ですから、大半の人にとっては、「こうしてほしい」とオーダーされるほうが本当はマシですし、実際に成果も出るのです。

若い組織に急にインセンティブ制度を導入すると、動きが止まってしまう可能性があります。むしろ、インセンティブ制度ではなく、マニュアル化や仕組み化を優先し、社員には具体的な行動を指示し、安定的な報酬を支払うほうがいいかもしれません。

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