「米朝の対話」は、交渉にすらなっていない 「要望をはっきりさせろ」と元米国務次官補

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トランプ大統領による「ディール」方式ははたして正解なのか(写真:北朝鮮ニュース)
アメリカは北朝鮮の「完全な非核化」まで制裁を維持することにこだわっているが、「現実的」な選択肢とはいえない――ブッシュ(子)政権で北朝鮮との非核化交渉を担当したクリストファー・ヒル元アメリカ合衆国国務次官補(東アジア・太平洋担当)は北朝鮮ニュースのインタビューに応じ、こう語った。
現在の米朝対話は互いのメッセージが不明瞭な点が問題となっている。アメリカは北朝鮮に何を要求しているのかはっきりと伝えるべきだ、と同氏は言う。ヒル氏は2005~2009年に北朝鮮の核問題をめぐる6カ国協議でアメリカ側の首席代表を務めた人物だ。
ヒル氏は米朝の対話路線は歓迎するとしながらも、北朝鮮問題に対するドナルド・トランプ米大統領の「理解」には「改善の余地がある」と話した。主なやり取りは以下のとおり。

「在韓米軍の撤退」が交換条件

――北朝鮮の金正恩(キム・ジョンウン)朝鮮労働党委員長は、経済援助と引き換えに核を手放すと思うか。

本記事はNK News(北朝鮮ニュース)の翻訳記事です

答えはノーだ。金正恩氏がアメリカに対して求めている相応の対応とは、単に経済的なものではないだろう。金正恩氏は安全保障に関する相応の対応、具体的には朝鮮半島からのアメリカ軍の撤退を期待していると私はみている。

――韓国の文在寅(ムン・ジェイン)大統領と金正恩氏は朝鮮戦争の終戦を宣言したがっている。金正恩氏が終戦宣言を強く求めているのは、在韓アメリカ軍の撤退につなげるのが狙いか。

そうだ。私の印象では、北朝鮮は終戦宣言が在韓アメリカ軍の撤退につながるものだと考えている。だが、これは北朝鮮側の見方であって、アメリカ側の見方ではない。韓国側の見方でもないだろう。アメリカ軍の韓国駐留は米韓同盟に基づく措置であり、1950年に起きたこと(朝鮮戦争)が原因になっているわけではない。

――北朝鮮は豊渓里(プンゲリ)の核実験場と東倉里(トンチャリ)のミサイルエンジン試験場に対して国際査察を受け入れる方針を示している。これは終戦宣言に見合った取引内容といえるか。

そうは思わない。私たちはまず、北朝鮮の核計画の全容をつかむ必要がある。その全容を(北朝鮮から)文書として提示させる必要があるということだ。それから、核施設の廃棄スケジュールについても、それなりの合意が必要だ。

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