「米朝の対話」は、交渉にすらなっていない 「要望をはっきりさせろ」と元米国務次官補

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北朝鮮と話し合うのはいい。しかし、話し合いはきっちりと整理して行わなければならない。双方の要求や、立場の違いなどを明確な声明に落とし込むとか、そういったことだ。(トランプ政権がやっていることは)まったくもって、あやふやだ。

――6カ国協議でアメリカの首席代表を務めた立場から見て、当時のジョージ・ブッシュ(子)大統領のメッセージはトランプ氏より明確だったといえるか。

われわれには6カ国協議に基づく合意があった。中国も、アメリカも、北朝鮮も、韓国も、日本も、ロシアも、その内容を理解していた。内容はクリアだった。

シンガポールで(行われた今年6月の米朝首脳会談で)得られたのは、急いで書いたと思われる1ページの文書だけだ。私には、この文書の内容が理解できない。きちんとまとめられた文書ではないからだ。

交渉しろ、腰を据えて話し合え

――ただ、朝鮮半島の非核化で米朝が合意した点は評価できるのでは?

私も交渉を行うことには賛成だ。しかし、互いの義務はもっと明確にしなければならない。トランプ氏は今も、北朝鮮が完全に非核化するまで何もしないと言い続けている。北朝鮮も、制裁が完全に解除されるまで何もしないと言い続けている。これが彼らの対話のやり方なのだ。こんなのは、どう見ても問題だろう。

――北朝鮮はこのところ、「信頼醸成」に向けた措置をアメリカ側に求める、と一貫して主張し続けている。北朝鮮が求めている「信頼醸成」とは具体的に何を指していると思うか。また、信頼関係を深め、対話を前に進めるために、米朝には何ができるか。

北朝鮮が完全に非核化するまで制裁を続けるというトランプ政権の政策は現実的ではない。関係国すべてが、綿密に練られた一連の計画に基づいて行動する必要があるだろう。問題は、こうした行動計画を練り上げることにある。たとえば、アメリカは平和条約や終戦宣言について北朝鮮と話し合う準備を整えておかなければならない。

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