「米朝の対話」は、交渉にすらなっていない 「要望をはっきりさせろ」と元米国務次官補
北朝鮮が何を望んでいるかについて、あれこれ憶測を繰り広げているようではダメだ。交渉を行い、北朝鮮が何を欲しているのか聞かなければならない。「あなた方が寧辺の核施設を解体し、ウラン濃縮施設を解体するとして、それで私たちにどうしてほしいのですか」と、はっきり聞くべきなのだ。
それで、彼らが「朝鮮半島からのアメリカ軍撤退を求める」と言ってきたらどうするか。私だったら「ノー」と答える。「もっと経済援助が欲しい」と言ってきたら? これには「よし、話し合おうじゃないか」。「米韓合同軍事演習を減らしてもらいたい」と言ってきた場合にはどうか。これも「オーケー、話し合おうじゃないか」。だが私には、在韓米軍の撤退は受け入れられない。
トランプ氏には問題がわかっていない
――北朝鮮に対するトランプ政権の方針は正しい方向に向かっているか。
もっと包括的な外交戦略を見てみたいが、今のところ、そのようなものがあるようには見えない。
――(大統領が)トップダウンで北朝鮮の核問題を解決しようとするアプローチは正しい?
大統領が「この方針を支持する」と言うことには意味がある。しかし、大統領は自ら交渉を行うべきではない。「私はこの方針を支持している。私は本気だ」と言って交渉の口火を切りたいのなら、それはそれでいい。しかし、自分で交渉するのは避けるべきだ。トランプ氏には問題が理解できているとは思えない。
――トランプ氏には北朝鮮情勢が理解できていない?
そこまでは言わない。ただ、同氏の理解には改善の余地がある。
――非核化交渉の内容にトランプ氏は満足しているように見える。同氏が北朝鮮に譲歩し、「完全な非核化」をあきらめてしまうリスクはないのか。
それはトランプ氏に聞いてもらいたい。私には時折、トランプ氏の言っていることがわからなくなる。同氏が「北朝鮮の核の脅威は終わった」といったようなことを言うのを聞いても、私には何を言っているのか、よくわからない。トランプ氏も(自分が何を言っているのか)よくわかっていないだろう。