「米朝の対話」は、交渉にすらなっていない 「要望をはっきりさせろ」と元米国務次官補
残念ながら、どの核施設をいつ解体するかは、合意もなく北朝鮮が(一方的に)決めている。仮に何らかの合意があったとすれば、豊渓里の破壊作業から手をつけるという展開にはならなかっただろう。核実験場なんて、ほかにいくらでも造れる。(あんなのは)穴を掘るだけの問題だ。
「それで私たちにどうしてほしいのですか?」
――北朝鮮は、アメリカが相応の措置を取るのであれば、それと引き換えに、寧辺(ヨンビョン)の核施設を恒久的に廃棄する用意がある、としている。「相応の措置」として北朝鮮はアメリカに何を求めているのか。
こういうのを伝えるのに、北朝鮮はメディアを使う必要はない。マイク・ポンペオアメリカ国務長官に会って、具体的に伝えるべきだ。
北朝鮮が何を求めているのかは知らないが、寧辺の廃棄は意味のある本物の非核化プロセスだ。ということは、意味のある本物の制裁緩和で応じなければ釣り合わないだろう。本当に寧辺を解体し、国際査察を受け入れるのだとしたら、これは本物だ。
――北朝鮮がこれまでに行ってきた核関連施設の解体は本物の非核化プロセスとはいえない?
そうだ。あれは合意に基づく措置ではない。非核化は適当に進められるべきものではなく、具体的な合意に基づくものであるべきだ。
北朝鮮は豊渓里よりも前に、(ウラン濃縮施設など)核兵器材料の生産拠点を閉鎖すべきだろう。核実験を行う予定がないのであれば、豊渓里に価値はない。
――6カ国協議の頃と比較して、北朝鮮側の要求は強まっているか、それとも弱まっているか。
それはわからない。北朝鮮に聞いてみるしかないだろう。北朝鮮は何を欲しがっているのか。経済協力だろうか。北朝鮮はもっと大きなものを欲しがっていると、私はみている。