「日本の自動車ユーザーが世界一高いレベルの税金を負担しているという事実を踏まえたうえで、今年こそ、抜本的な税制改正に取り組んでまいりたい」。トヨタ自動車の豊田章男社長はこう決意を示した。
豊田社長は自動車メーカーで作る日本自動車工業会(自工会)の会長を務める。9月20日に、自工会会長として記者会見した際、自動車にまつわる税負担の軽減を訴えたのだ。
ではなぜ今なのか。その引き金は、2019年10月に予定されている、消費税率の引き上げだ。
消費増税時に起こる車の新たな税負担
自動車は金額の大きな耐久消費財である。消費税率が上がると、自動車購入者に大きな金額の消費税を支払ってもらうことになるため、購入意欲をそぐとの見方が根強い。消費税率を現行の8%から10%に引き上げる代わりに、「自動車取得税」は廃止されることになっている。しかし、単に廃止されるだけでは済まず、「自動車税」と「軽自動車税」に、”環境性能割”という新たな税負担を課すことも決まっている。
別の言い方をすると、消費税率が10%に引き上げられないと、自動車取得税は廃止できない。現に引き上げを2度先送りした際には、自動車取得税の廃止も先送りされていた。だから2019年10月という機を捉えて、豊田社長は自動車税制の抜本改正を訴えている。
ここで、自動車にまつわる税がいくつか出てきたので、整理をしておこう。自動車には、取得時や保有時、利用時、走行時に、多くの税が課されている。ガソリン車には取得するときに「消費税」と「自動車取得税」(道府県税)がかかる。車を保有するだけで「自動車税」(道府県税)、車を利用するため新規登録や車検をすると「自動車重量税」(国税)がかかる。そして、走行するためにガソリンを使うと、「揮発油税」(国税)と地方自治体に譲与する分の「地方揮発油税」(国税)と消費税もかかる。このようにガソリン車には6種類の税が課されている。
またディーゼル車にも、取得時や保有時、利用時に、同様に「消費税」「自動車取得税」「自動車税」「自動車重量税」がかかり、走行時には(軽油を使用するから)「軽油引取税」(道府県税)と消費税がかかっている。
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