安倍晋三首相は9月20日に自民党総裁に3選された。自民党総裁選中から、安倍首相は次なる社会保障改革の焦点として、「生涯現役社会」の実現を挙げていた。生涯現役社会の実現とは、いくつになっても意欲さえあれば働ける環境を整えることを意図している。
2015年9月の総裁再選時に安倍首相は「アベノミクス第2ステージ」と題して、「希望を生み出す強い経済」、「夢を紡ぐ子育て支援」、「安心につながる社会保障」という、「新たな3本の矢」の政策を示し、その実行によって「1億総活躍社会」を目指すことを掲げた。その背景は本連載の拙稿「『アベノミクス第2ステージ』成功の条件とは」で記したところである。
それを踏まえ、2015年10月に一億総活躍国民会議を立ち上げて、2016年6月に「ニッポン一億総活躍プラン」を取りまとめた。これを受けて、働き方改革は一億総活躍社会実現に向けた最大のチャレンジと位置づけ、同年9月に働き方改革実現会議を立ち上げ、2017年3月に「働き方改革実行計画」を取りまとめた。それを踏まえて、働き方改革関連法案が国会で審議され、一部修正のうえ成立した。
働き方改革第2弾は「生涯現役社会」
さらに一億総活躍社会実現のために、人生100年時代を見据えた経済社会のあり方を構想すべく、2017年9月に人生100年時代構想会議を立ち上げ、2018年6月に「人づくり革命 基本構想」を取りまとめた。こうして安倍首相は2期目の自民党総裁任期を終えた。
安倍首相の自民党総裁の新任期では、いわば働き方改革の第2弾として、「生涯現役社会」の実現を掲げた。「アベノミクス第3ステージ」とは称していないが、その意味では改革論議の継続性を持たせている。人生100年時代の到来に備えて、長生きしても充実した生活が送れる社会にする取組みが求められている。
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