9月11日、野田聖子総務相は「ふるさと納税」制度を見直す方針を発表した。地方税制を所管する総務省は、ふるさと納税で「返礼品の調達価格を寄付額の3割以下とする」とした通知を守らない自治体に対して、制度の対象外にできるよう、見直すことを検討するという。
ふるさと納税については、返礼品競争の過熱が以前から問題視されていた。本連載の「『ふるさと納税』、返礼品目的以外の活用法」でも触れたが、寄付金に対し返礼割合が3割を超える返礼品や地場産品以外の返礼品を送付している市区町村で、2018年8月までに見直す意向がなく、2017年度受入額が10億円以上の市区町村について、総務省が実名で公表。早急に是正を求めていた。
返礼品競争は、なぜ問題なのか
返礼割合が高いということは、ふるさと納税で寄付をした人にとってはお得なのだが、寄付をもらう自治体側からすると、それだけ収入が失われることを意味する。
自治体に寄付した金額から2000円を除いた分が、居住する自治体の住民税と国の所得税から控除され、結果的に税負担が相殺されるのが、ふるさと納税の仕組みだ。だから返礼割合が高いほど、どの自治体や国にも収入が入らないことになる。
返礼割合をどのぐらいにするかは、各自治体の判断で決められる。返礼割合を高くする自治体は、そのお得感に引き付けられて、ふるさと納税の受入額が増える。それに負けじと近隣の自治体が、返礼割合を上げたりすれば、まさに問題視されている返礼品競争をあおることになる。だから総務省は、返礼割合を下げるよう求めてきたのだ。
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