9月11日に野田総務相の方針表明と合わせ、「ふるさと納税に係る返礼品の見直し状況 についての調査結果 (平成30年9月1日時点)」が公表された。それによると、返礼割合3割超の返礼品を送付している自治体は、2016年度には1156団体と全体の約65%を占めていた。それが、返礼割合を3割以下とし、原則として地場産品とするよう求める総務相の通知を発出して以降、着実に減少、今年の6月には327団体まで減って、9月1日現在では246団体となった。
ただ、それでもまだ、246市町村が返礼割合3割超の返礼品を送付している。加えて、地場産品でない品物を返礼品としているのは、190市町村もあった。
そこで総務省は、通知では限界があるとみて、”より強い措置”を検討することを表明したのだ。ふるさと納税の返礼割合を、総務省が自治体に強制することはできない。とはいえ、どの寄付をふるさと納税の対象とするかを、国の法律で定めることはできる。
通知を守らない自治体を控除対象から除外へ
そもそもふるさと納税制度は寄付税制の一環だ。寄付をすることは、社会的に貢献するものなら税金を払うのと同じ効能があるとみて、寄付をした分は所得税や住民税を払わなくてよいようにする、というのが寄付税制である。寄付ならどんな寄付でも、寄付税制の恩恵が受けられる、というわけではない。寄付税制の恩恵が受けられる寄付は法令で定められている。
そこで、総務省の通知を守らない自治体をふるさと納税の対象から外し、寄付した者がそうした自治体に寄付をしても住民税などの控除を受けられないようにする方向で、検討を進めたい意向である。
確かに、返礼割合3割超の返礼品を送付している自治体は、まだ残っていて、総務省の資料によると、10月末までに見直すとの意向を示した自治体を除いても174市町村あるという。とはいえ、返礼割合を3割以下にしている自治体は1600を超えており、通知を守っている自治体のほうが多い。
通知を守っている自治体からすれば、返礼割合を下げたために前の年より寄付額が減っていたりするのに、他方で通知を守っていない自治体は引き続き寄付額を多く集めているということなら、何のために通知を正直に守っているのかということになる。総務省も、そうしたことで、通知を守る自治体を不利にするわけにはいかない。これも、今回の制度見直しの引き金になっている。
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