「アベノミクス第2ステージ」は財政の意思決定にも影響
安全保障関連法が成立した。安倍晋三首相は「安保法制が成立した後は、経済で成果を上げていきたい」との意向を、かねてから示していた。とはいえ、経済で成果を挙げるといっても一朝一夕で成果が挙げられるわけではない。まずは、国民の政治的関心を、安保法制から経済の案件に移したいのだろう。
自民党総裁に無投票再選された安倍首相は、9月24日に早速記者会見を行い、「本日この日からアベノミクスは第2ステージへと移る」と宣言した。「希望を生み出す強い経済」、「夢を紡ぐ子育て支援」、「安心につながる社会保障」という「新たな3本の矢」の政策を示し、その実行によって「1億総活躍社会」を目指すという。
この記者会見。「新たな3本の矢」は初登場だったが、実は「アベノミクス第2ステージ」は、実は初出ではない。初出は、今年6月30日に閣議決定された「『日本再興戦略』改訂2015」である。
どういう意味か。「『日本再興戦略』改訂2015」から引用すると、「アベノミクスは、デフレ脱却を目指して専ら需要不足の解消に重きを置いてきたステージから、人口減少下における供給制約のくびきを乗り越えるための、腰を据えた対策を講ずる新たな『第2ステージ』に入った」ということである。
この認識は、財政政策の意思決定にも大きく影響を与える。第2次安倍内閣(2012年12月)以降、第2の矢とされた「機動的な財政政策」に表れているように、第1ステージは、デフレ脱却を目指して専ら需要不足の解消に重きを置いた、財政出動をいとわないスタンスだった。
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